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『なつぞら』スピンオフで音尾琢真の娘役に 新鋭女優・川床明日香が語る、朝ドラの現場での挑戦

2019年11月02日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『なつぞら』写真提供=NHK

 NHK連続テレビ小説第100作目として、9月28日に最終回を迎えた『なつぞら』。広瀬すず演じる主人公なつを中心に、個性豊かな登場人物たちが多数登場し、日本アニメーション史の歩みをなぞりながら多くの感動を届けてくれた。


 『なつぞら』最終回の余韻が冷めやまぬ中、スピンオフドラマ「とよさんの東京物語」「十勝男児、愛を叫ぶ!」の2本をメインに、反響の多かったシーンや未公開映像も交えた『なつぞらSP 秋の大収穫祭』が11月2日にNHK BSプレミアムにて放送される。


参考:『なつぞら』が描き続けた“命を与える”営み 改めて胸に刻みたい、泰樹がなつへ授けた言葉


 このたび、リアルサウンド映画部では「十勝男児、愛を叫ぶ!」に出演する川床明日香にインタビュー。川床が演じるのは、『なつぞら』本編では登場することのなかった、柴田牧場の従業員・戸村菊介(音尾琢真)の一人娘・公英(きみえ)。本編では、菊介は結婚するも、その妻や子どもの存在は描かれてこなかった。そんな中で、今回のスピンオフで妻・カナ子(中島亜梨沙)と娘・公英が登場するということで大きな話題となった。視聴者として作品を楽しんでいたという川床は、『なつぞら』チームにいかに飛び込んでいったのだろうか。


●「こんなに笑う現場は初めてでした」


ーー『なつぞら』スピンオフへの出演が決まったときは?


川床明日香(以下、川床):『なつぞら』はもちろん、朝ドラはずっと観てきた作品だったので、出演することは憧れであり、ずっと目標にしていたことでもありました。なので、素直に「うれしい!」という気持ちが一番最初に思ったことでした。家族は出演が決まったことに対して、半信半疑だったんです(笑)。これから観てもらうのが恥ずかしいですね。


ーーすでにチームとして出来上がっている作品への出演なだけに緊張もあったかと思います。


川床:とても緊張していました。みなさんが1年間かけて築いた作品に途中から参加させていただくので、お話をいただいてからクランクインまでにどれだけ自分の役を作り上げることができるか、必死に考えて望みました。


ーー撮影は『なつぞら』本編と並行して行われていたそうで。


川床:そうなんです。なのでずっと視聴者として観ていた世界の中に自分が入っているというのは不思議な感覚でした。ここまで作り込まれたセットの中でお芝居をすることが今まであまりなかったこともあり、現場に入った瞬間に感動したのを覚えています。


ーー実際に観ていた世界に入ってみていかがでしたか。


川床:視聴者として『なつぞら』に登場するたくさんのキャラクターたちに本当に楽しませてもらったなと思います。今回共演させていただいた皆さんも、演じるキャラクターの通り素敵な方ばかりで、現場ではずっと笑っていました(笑)。こんなに笑う現場は初めてで、本当に楽しかったです。


ーー川床さんが演じた公英はどんな女性だと感じましたか。


川床:公英は優しい性格なのですが、自分という芯もしっかり持っている女性だと感じました。今回の物語では、お父さんとお母さんの間に流れる気まずい雰囲気を察して、ふたりを繋げる役割を担っています。なので、演じるにあたっても公英の「私がなんとかしなくちゃ」という部分を一番大事にしようと思っていました。実際に演じるまではどんなトーンでのぞむべきか悩むところもあったのですが、現場で音尾さんと中島さんが台詞を交わすシーンを観て、スッと腑に落ちるものがありました。


ーー公英は菊介さんに対してどんな思いを抱いているのでしょうか。


川床:「しっかりしてよ」という思いと、心から慕っている思いが、両方あると思います。スピンオフの最後には、菊介さんが歌を歌うシーンがあるのですが、リハーサルのときからジーンとくるものがありました。曲は音尾さんご自身で作られたものなのですが、本当に素敵なんです。視聴者の皆さんも楽しみにしていただけたらと思います。


●「今後は本編にも出演できるように」


ーー音尾さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。


川床:現場ではたくさん話かけていただきました。音尾さんの娘さんの写真も見せてくださったのですが、すごく可愛いんです。おかげで親子としての距離も縮められたのかなと思います。ほかの共演者の方では富田望生さんですね。撮影1日目に、ご挨拶してから10分ぐらいしか経ってなかったのですが、お昼ごはんに誘ってくださったんです。デザートにケーキも買ってくださって(笑)。それで緊張がほぐれました。


ーー川床さんは福岡県出身ですが、十勝の方言で苦労された点はありましたか。


川床:菊介さんが十勝の登場人物の中でもかなりなまりが強い役柄だったので、公英もそれに近い感じでいこうと思っていたのですが、予想以上に難しかったです。いちばん練習した言葉は「お母さん」。普段と微妙にアクセントが違うので、無意識に首をかしげながら言ってしまったりしていました(笑)。


ーー方言は地元出身の音尾さんからの指導も?


川床:方言は、方言指導の助川嘉隆さんに助けていただきました。


ーー女優として今後の目標は?


川床:朝ドラに出演することは夢のひとつでもあったので、スピンオフに参加させていただいて、改めて本当に素敵な現場だなと思いました。今後は本編にも出演できるように頑張りたいと思います。


(取材・文=石井達也)