2019年11月01日 17:11 弁護士ドットコム
国際オリンピック委員会(IOC)は11月1日、都内で開いていた調整委員会を終え、東京五輪大会組織委員会と会見を行なった。メディアから質疑が集中したのは、急転直下で決定したマラソン・競歩の開催地の札幌変更についてだった。
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同日、開催された四者協議(IOC、東京都、組織員会、国)では、「マラソン・競歩の会場が札幌に変更された際に発生する新たな経費は、東京都に負担させないこと」「既に東京都・組織委員会が支出したマラソン・競歩に関連する経費については、精査・検証の上、東京都において別の目的に活用できないものは、東京都に負担させないこと」で合意している。
しかし、IOC調整委員会のジョン・コーツ委員長らは、札幌市や北海道と協議するとしたが、新たな費用負担について誰がどうするのかは決まっていないとした。一体、誰が負担するのか、先行きは見えない。
コーツ委員長は会見で新たなコストについて質問され、「コストですが、今決まっているのは、東京都が負担しないということだけです」と答えた。北海道や札幌市と協議していくと話しているが、明言は避けた。
また、すでに東京都や組織委員会が支出した費用について、IOCがどの費用を「東京都に負担させない」と判断するのか、という質問には「そうではありません」と否定。三者(東京都、組織委員会、IOC)で協議するとした。
これまでかかった費用、また、今後新たに発生する費用は誰がどのような形で負担するのかは不透明なままに決定した札幌開催だが、にわかにメディアの注目を集めているのが、組織委員会の「予算V3(バージョン3)」にある、「大会予備費」だ(https://tokyo2020.org/jp/games/budgets/)。
これは、拡大を重ねてきた東京五輪の最終予算額で、「総額1兆3500億円」の枠外に「(注)このほかに予備費1,000億円~3,000億円があります。これにより、予期せずに発生し得る、緊急に対応すべき事態等に対処します」と記されているもの。
この予備費が新たに発生した費用に充てられるでのではないか、という指摘が報道陣から組織委員会にされた。ネットでも「大会予備費ではなく、IOCに負担してほしい」「大会予備費は結局、国民や都民の税金なのでは」と懸念の声が上がっているが、組織委員会は現段階では「まだ何も決まっていない」としている。
コーツ委員長も、「負担は札幌市、北海道、組織委員会が考えること。IOCが補償するとしたら、これまで使われてきた東京都の費用にむけられます。しかし、札幌開催で数字が出るまではなんとも言えませんが、IOCも検討します」と話し、費用負担が白紙であるとした。