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「葬儀費用がなかった」母の遺体放置で逮捕 どうすればよかったのか?

2019年11月01日 10:41  弁護士ドットコム

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埼玉県川口市にある自宅マンションの一室に母親(80)の遺体を放置し、死体遺棄の疑いで息子(52)が逮捕されるという事件が10月24日にあった。


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マンション管理会社から「家の玄関が施錠されており、部屋から異臭がする」という110番通報があり、遺体の放置が発覚したようだ。息子は、放置の理由について、「葬儀費用がなかった」と述べたという。



同様の事件では、年金をだまし取る目的のものもある。今回の事件の詳細は定かではないが、ネットには「まさに80・50問題」「この先こういう事件が増えそう」「行政の支援を受けていれば、違う結果になっていたかも」といった意見もあった。



では、今回の事件のように、費用不足で火葬もできない場合は、どうしたらいいのだろうか。事件の発生した自治体である川口市役所に聞いた。



●遺族で葬儀を行うことができるかどうかを確認

ーー資産がなく火葬もできないと相談があった場合にはどういった対応をしますか



相談者に資産がなくても、他の遺族の方で葬儀を行うことができる資産があるといった事情があるなら、まずは遺族内で葬儀の執行について話し合っていただくようお願いします。



ーー相談者が唯一の遺族であり、他に葬儀を行う者がいない場合はどうですか



相談者が「生活保護受給者(既に生活保護を受けている者)」であるかどうかで、対応が異なることが考えられます。



●葬祭扶助を受けられるかどうか

ーー相談者が生活保護受給者である場合は、どういった対応になりますか



生活保護法に基づく「葬祭扶助」という制度があります。



葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、火葬などの必要最小限の葬儀費用について、一定の限度額(20万円前後)の範囲内で自治体が支給するものです。



生活保護受給者は、「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者」に当たりますので、申請があれば、基本的には葬祭扶助を受けられることが多いと思います。



ーー相談者が生活保護受給者でない場合はどうですか



生活保護を受給していなくても、「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者」であれば、葬祭扶助による支給を受けられますので、相談者との面接で、おおよその生活状況などを確認した上で、葬祭扶助の申請をしていただくことになります。



所定の申請をしていただいたあと、申請者の資力・資格の有無、他の親族の資力などを調査し、葬祭扶助を受けることができるかどうかを判断することになります。



●まずは自治体に連絡を

葬祭扶助の申請に対する結果の通知は、原則として14日以内にしなければならないと生活保護法で定められているが、状況によっては、早く結果を通知することもあるようだ。



同居者が亡くなったが葬儀費用で悩んでいる場合は、遺体を放置しているわけではないことを明らかにする意味でも、自治体に速やかに連絡することが大切と言えそうだ。