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森・新法相「女性や子どもの人権守りたい」養育費不払いや虐待問題への注力を表明

2019年11月01日 10:41  弁護士ドットコム

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河井克行法相の辞任に伴い、弁護士資格を持つ森雅子参議院議員が10月31日、新法相に就任し、初登庁後に会見した。森法相は、児童虐待や養育費不払い、消費者問題などに力を入れる考えを示した。過去2人の大臣が就任会見で「廃止は適当でない」と明言した死刑制度については、存廃に対する態度を明確にしなかった。


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森法相は司法修習47期で、1995年に弁護士登録。政治家としては参院福島選挙区選出で、現在当選3回。自民党の法務部会長や女性活躍推進本部長などを歴任している。また、第二次安倍内閣では、当選1回で入閣し、女性活躍や少子化、消費者問題など幅広く担当する特命担当大臣を務めた。



●「児童虐待を1つでも減らしたい」

冒頭のあいさつで、森法相は弁護士や党の法務部会長、特命担当大臣の経歴に触れ「経験を法務行政に活かしたい」とした。力を入れたい分野を聞かれ、女性弁護士、女性議員であることに触れた上で「児童虐待問題や養育費の不払い等にも、党の推進本部で昨年取り組んできて、海外視察も終えた。法務大臣という立場で、しっかり女性や子どもの人権を守ることに力をいれたい」とした。児童虐待問題については、「弁護士時代の経験からいうと、(被害児童は)弁護士までたどり着けない」と指摘。虐待防止に向けてマンパワーの不足が指摘される中でも、ITなどを活用して「児童虐待を1つでも減らしたい」と述べた。



また、自身が消費者被害を扱う弁護士であったことにも触れ、「この社会では正義が実現されているのかと不安に思う消費者の姿を目にしてきた。そのようなことがないよう大臣の立場で適正な法の執行に目を行き届かせ、時代の流れにあった法律の改正をしていくことで、消費者を守るところに弁護士としての経験が活かせたら」と話した。



●死刑存廃「慎重に検討すべき問題」

死刑の執行については、「人の生命を奪う重大な刑罰で、執行に際しては慎重な態度で望む必要がある」としたうえで、死刑存廃について、「世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等の種々の観点から、慎重に検討すべき問題と考えている」と発言。過去2人の法相は就任会見で「廃止は適当でない」と踏み込んで発言したが、森法相は存廃についての態度を明確にしなかった。自身の政治活動・選挙活動については、「法令に基づいて行っている」とした。



河井前法相は、週刊文春において、妻で参議院議員の案里氏の選挙運動の中で、運動員に対して、法定以上の金額の報酬を支払った公職選挙法違反疑惑に加え、自身も有権者にジャガイモを配った疑惑が報じられ、10月31日に辞任した。河井前法相は「私も妻も全く預かり知らない」と疑惑を否定したが、「法務検察に対する国民の信頼を守るために辞める」としている。