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横浜流星&木村拓哉、方向性が全く異なる2人の料理男子 根底に共通する思いとは?

2019年11月01日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『4分間のマリーゴールド』(c)TBS

 巷でジワジワと人気を高めている「料理男子」。ドラマの世界でもその存在は大きくなりつつある。


参考:横浜流星が透明感あふれる瞳で真摯に演じる 『4分間のマリーゴールド』で描いた“遺すこと”


 今春の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)は、毎日彩り豊かな夕食を作るシロさん(西島秀俊)と、その恋人のケンジ(内野聖陽)が食卓を囲む日常ドラマだった。シロさんは仕事をきっかり定時で切り上げ、スーパーに寄り、帰宅してから楽しげにおいしそうな料理を作る。シロさん料理のブームは大きく、『きのう何食べた?』のレシピ本まで発行されたほどだ。


 『4分間のマリーゴールド』(TBS系)で、まさに「料理男子」として登場するのが横浜流星演じる花巻藍。日々華巻家の料理を担当している4人兄弟の末っ子だ。


 4人分の朝ごはんから晩ごはんのデザートまでしっかり作ることは容易ではない。そんな藍には、料理を教えてくれた年上の友だち和江ちゃん(松金よね子)がいた。「人は食べなきゃ生きていかれないんだから」。和江ちゃんが藍にくれた言葉。当たり前だけれど、当たり前じゃない。藍にとって、料理はつながりであり、生きていくための手段だった。


 第2話の終盤、和江ちゃんは病で命を落としてしまう。藍は悲しみにくれるも、出会えたことに感謝しながら和江ちゃんの煮物の味を受け継いでいく。


 横浜流星は、今夏大ヒットとなった『あなたの番です』(日本テレビ系)に2クール目から出演し話題をさらった。殺人マンションに越してきたミステリアスな理系男子・二階堂として、補給ゼリーばかり摂りながら「人の作った料理は食べられないんです」とつめたく言い放っていたのが懐かしい。


 日常ドラマの中の料理男子にスポットが当たっている今秋だが、同クールで王道の料理ドラマとして筆頭に挙げられるのは『グランメゾン東京』(TBS系)だろう。主人公は木村拓哉演じる天才シェフ、尾花夏樹。夏樹はパリの超有名店でシェフとして名を馳せていたが、あるトラブルを起こしレストラン業界にいられなくなってしまった。3年後、食べるだけで調理方法がわかる超味覚の持ち主・早見倫子(鈴木京香)に出会い、ミシュラン三ツ星を目指しレストラン「グランメゾン東京」を開くことを決意する。


 鶏肉のトマト煮込みや肉じゃがとはわけが違う、超高級本格フレンチだ。料理男子ステキ~! なんてヘラヘラ思っていた矢先、ガチガチに「ホンモノ」の料理ドラマもぶつけてくるものだから驚く。


 料理は芸術なのだと、『グランメゾン東京』を観ていると思い知る。食材と向き合い、楽器を奏でるように腕をふるう真剣な眼差し。一品一品絵を描くように盛りつける繊細な手つき。さすがキムタク、手際の良さもホンモノだ。自分の腕に絶対的な自信を持ち、だれもが納得する料理を作る夏樹の圧倒的主役感は料理シーンにも凝縮されていて、思わず画面に釘付けになってしまう。


 家族のために日々料理を作る藍と、世界一のグランメゾンを目指す夏樹。置かれている状況も何もかもかけ離れているように見えて、ふたりの根底には共通の思いがある。それは、自分の料理を食べてくれた人に「おいしい」と喜んでもらうこと。きっとドラマを観たあとに、心を込めて作られたご飯が食べたくなるだろう。


■ネネネ
1994年生まれ。東京在住のライター。好きな映画ジャンルはホラーとサスペンスだが、おばけ屋敷には入れない。