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『同期のサクラ』岡山天音、“変わる瞬間”を見せた名演 『過保護のカホコ』キャストたちの再集結も

2019年10月31日 05:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『同期のサクラ』(c)日本テレビ

 高畑充希が主演を務めるドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)が、10月30日に第4話を迎えた。


参考:『同期のサクラ』矢島健一&木村了がゲスト出演 コンプレックスを抱く新田真剣佑の父兄役に


 第1話の2009年では主人公のサクラ(高畑充希)、第2話の2010年ではサクラと同期の菊夫(竜星涼)、第3話の2011年では百合(橋本愛)と、1話毎にサクラとその同期にスポットが当たってきた。第4話、2012年9月に主役となるのは、蓮太郎(岡山天音)。プライドが高い上に傷つきやすく周囲に心を閉ざす蓮太郎は、無断欠勤を続けクビが迫っていた。


 入社4年目、閑職と呼ばれる社史編纂室から人事部に復帰したサクラは、「メンタルヘルスケアプロジェクト」を通じて、蓮太郎と向き合うことになる。大学を二浪し、1級建築士の試験にも2年連続で落ち、設計部でも浮いた存在の蓮太郎。上司からの陰湿なイジメをきっかけに、蓮太郎は家に閉じこもることとなる。


 カッターを持って上司に向かっていく蓮太郎を止め、手の甲を5針縫う怪我を負ったサクラ。それでもサクラは、同期を引き連れ蓮太郎を説得しに行くのだが、彼の出す答えは「もう二度と失敗したくないから、一生この部屋にいる」。しまいには、設計もやめると言い出す蓮太郎に、サクラは、「あー、そうですか。了解でーす。全然大丈夫です」と心のシャッターを完全に閉ざしてしまうのだ。第3話でも、百合に「ブス!」と大声を上げ変貌するシーンがあったが、第4話では、キレると一気に心を閉ざし、さらにウソがつけずに口をパクパクする、といったサクラの新たな挙動が登場している。


 菊夫、百合の回と同様、自分の行動を反省したサクラに、“じいちゃん”こと祖父・柊作(津嘉山正種)が送るファックスが物語を大きく突き動かす推進力となっていく。第3話で柊作がサクラに送る金言は「辛い時こそ、自分の長所を見失うな」。翌日、サクラは人事部の部長に訴える。蓮太郎には、どんなに時間がかかっても諦めない粘り強さがあること、無茶な要求にも応えてくれる柔軟性と応用力があること。蓮太郎はサクラの言葉を聞き、自分が孤独な世界に閉じこもっていたことに気づくのだ。それにしても、ここまで自分を肯定してくれる存在がいることほど幸せなことはない。サクラの言葉に、蓮太郎と同じように勇気をもらった方は多いのではないだろうか。


 蓮太郎は初めて自分の弱さを受け入れ、もう一度やり直すことを決める。蓮太郎が新たに見つけた夢。文字通り彼が変わった瞬間がはっきりと分かる岡山の名演であった。


 こうして、毎年同期をピンチから救っていくサクラ。第4話にして目立つのが、サクラに助けられた菊夫、百合が入社当時と比べて、性格も少しずつ変化していることだ。応援部出身の熱血タイプだった菊夫は、自分らしさを大切にする慎重さも兼ね備えた人物に。なかなか気づいてもらえないサクラへの思いの行く末も気になるところ。サクラと本当の友達になった百合は、思ったことを気兼ねなく口にするようになった。サクラを相談できる友達と呼び、社内では悩みだった女性が働きやすい職場へと改善に努めている。雰囲気も柔和になった……ように見えるが、気を抜くと瞬間湯沸かし器のように、声を張り上げる一面も。2019年の百合は腕に赤ちゃんを抱いているが、その父親は誰なのか。第4話では、葵(新田真剣佑)にムキになる百合へ菊夫が「もしかして好きだったりして」とからかうシーンがあるが、その恋路の結果は果たして。


 また、『同期のサクラ』は『過保護のカホコ』(日本テレビ系)に続く、「主演・高畑充希×脚本・遊川和彦」の再タッグ作品ということで、第1話では『過保護のカホコ』でカホコの祖父を演じていた西岡徳馬が登場。そして、第4話では、カホコの従姉妹の“糸ちゃん”を演じていた久保田紗友が登場。チェロケースを背負いイヤホンをした音大生という、まるで糸ちゃんがそのまま現れたような設定だ。さらに、糸ちゃんの母親を演じていた西尾まりも、蓮太郎の母親役として姿を見せた。この、高畑充希だけではない『過保護のカホコ』キャストの再結集には、やはり初を演じた竹内涼真の登場を期待してしまう。数々のバイトをこなしていた初ならば、スッと出社シーンにでも登場できるのでは……。


 第5話、2013年9月、同期として最後にフィーチャーされるのは葵。サクラは、葵の父が国土交通省の高級官僚だと知り、やがて彼の内に秘めた悩みに気づく。サクラへの「キスしたことも覚えてないとか?」というセリフとともに、トラックの前に身を投じる葵の姿も。同期ラストとなる葵にサクラはどんな言葉をかけるのか。(渡辺彰浩)