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小島慶子、「専業主婦のモヤモヤ」に「働く女性と、どっちが正しいかみたいな話になるのは不毛」とコメント

2019年10月30日 19:30  キャリコネニュース

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専業主婦であることに、うしろめたさを感じる人は少なくないようです。現在、共働き世帯は約1200万世帯、専業主婦世帯は約600万世帯と、この40年ほどで多数派が逆転しています。

10月30日放送の「あさイチ」(NHK総合)では、「専業主婦のモヤモヤ」を特集。会う人ごとに「なんで働かないの?」と聞かれたり、子どもに「ママはラクそうでいいね」と言われたり、何気ない一言で傷つく専業主婦たちの思いが明かされました。ゲスト出演したエッセイストの小島慶子さんは、「(働く女性と専業主婦)どちらが正しいかみたいな話になるのはとっても不毛」などとコメントしています。(文:篠原みつき)

「働いている女性のほうが、価値がある」は、90年代の価値観


小島さんは、政策面や世の中の経済的な変化で、働かざるを得ない主婦が増えてきたという背景を語り、

「でも、そもそも、その前の段階で、女性が働くことはある種のオプションだった」

と指摘します。

小島さんが働き始めた95年当時は、女性が働くことに「何か素敵な理由が必要な時代」だったそう。しかし、「今は理由なんて必要ないし、各家庭で必要なだけ働く仕組みができればいいのに、まだそれを少し引きずっている部分がある」として、

「働いている女性の方が輝いているとか、働いている女性のほうが働いていない人より価値があるんじゃないかとか、働くんだったら自分を輝かせる仕事じゃなきゃいけないんだ、というような、90年代の価値観がまだどっかに残っている気もする」

と分析。

「どっちが正しいかみたいな話になるのはとっても不毛で。本当は人生の時々に合わせて、今は子育てに集中したい、今は仕事がしたい、という風に自由に行き来ができるようになるといいですよね」

と、自らの考えを語りました。確かに、どんな生き方を選ぶかは人それぞれです。周囲に合わせる必要は、本来ならばありません。女性を取り巻く労働環境も、もっと変わっていく必要があります。

「働かざる者食うべからず」ではなく……「働かないものもの、どんどん食べろ」がいい

放送はツイッターでも話題になり、「他人の人生に口出しするな」といった怒りのツイートが散見されました。専業主婦であろうが共働きであろうが大変なことはあるし、「罪悪感は働く女性にもある」等、多くの意見が上がっています。

筆者も専業主婦歴が長いため、番組に登場した主婦たちのモヤモヤはよく分かります。お金を稼ぐ仕事をしていないと、存在自体が否定されているような気持ちになることがあります。番組でも出ていましたが、「働かざる者食うべからず」という言葉が重くのしかかるのです。

現代の専業主婦にとって普遍的な悩みになっていますが、専業主婦を主人公にした、山崎ナオコーラさんの小説『趣味で腹いっぱい』(河出書房新社)でこんなシーンがありました。高卒銀行員の夫と、大学院文系卒の妻との結婚生活を描いたお話で、

「働かないものも、どんどん食べろ」

という名言が飛び出します。

妻の鞠子は働く気のない趣味に生きる専業主婦で、話は一見ほのぼのしていますが、専業主婦やニートなど無職の人を見下す世の中に、真っ向勝負を挑んでいます。 世の中に、こうした価値観の多様さを楽しむくらいの雰囲気が広がって欲しいものだと思います。

しかしツイッターでは、まだ昼間のせいか家事・育児の大変さを知る人のほうが多く、「どちらが正しい」と論じる雰囲気はありませんでした。中には、専業主婦を堂々と楽しんでいる人も。何気ない言葉や、ネットの意見には影響されやすくなってしまいますが、まず自分自身の価値観を大事にすることが肝心なのでしょう。