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子宮頸がんワクチン「捏造」報道、二審も「名誉毀損」と認定 村中璃子氏が執筆

2019年10月30日 15:01  弁護士ドットコム

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月刊誌「Wedge」の記事で名誉を傷つけられたとして、元信州大医学部長の池田修一氏が起こしていた裁判の控訴審判決が10月30日、東京高裁(秋吉仁美裁判長)であった。一審判決同様、医師でジャーナリストの村中璃子氏が書いた記事による名誉毀損を認めた。


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池田氏は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するための「HPVワクチン」の副反応を研究している。



今回問題となった「Wedge」の2016年7月号や関連するネットの記事では、池田氏が厚労省の成果発表会(2016年3月)で行なった発表の問題点を指摘し、見出しも含め「捏造」という言葉を複数回使っていた。



一審判決は、名誉毀損を認め、出版社ウェッジと当時の雑誌編集長だった大江紀洋氏、村中氏が連帯して330万円(うち弁護士費用30万円)の損害賠償を支払うことや、謝罪広告の掲載、ウェブ記事の一部削除を命じている。判決を不服として、村中氏が控訴していた。



今回の二審判決も、池田氏が研究成果をでっち上げたという事実は認められないとし、村中氏の裏付け取材の不足も指摘した。一審同様、損害額を300万円、弁護士費用を30万円と認定している。



一方で、一審判決後にウェッジと大江氏が控訴せず、すでにウェッジ側が賠償金の支払いや謝罪広告の掲載、記事削除について対応していることから、村中氏の債務は消滅しているとして、一審判決主文の賠償金に関する部分から、村中氏の敗訴部分を取り消した。





なお、研究発表そのものについては、厚労省が「国民の皆様の誤解を招いた池田氏の社会的責任は大きく遺憾」と発表。所属先の信州大が設けた外部有識者による調査委員会も「混乱を招いたことについて猛省を求める」などと報告している。