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『まだ結婚できない男』母親との同居で桑野は一歩成長? 周囲を巻き込み徐々に交流の輪が広がる

2019年10月30日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『まだ結婚できない男』(c)カンテレ

 13年前に人気を博したドラマ『結婚できない男』の続編『まだ結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)。前作から月日は流れ、時代は令和を迎えたが主人公の“結婚できない男”桑野信介(阿部寛)は現在53歳、相変わらず独身を貫いている。


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 第4話「母親とケンカして悪いか!!」では、ひょんなことから桑野の母親と彼の周囲が集うことになり、図らずしも桑野を取り巻く各関係者の交流の輪が広まり、さらに深まる展開に。


 母親・育代(草笛光子)の自宅が水漏れを起こし、期間限定の同居生活が始まることになった桑野親子。普段自宅に人を招き入れない主義の桑野にとって、部屋を勝手に掃除され置物の配置がズレたり、調理しようと保管しておいた食材を勝手に使われたりすることに我慢ならないようだ。これは桑野のみならず、独身男性であれば多かれ少なかれ当てはまる“あるある”ではないだろうか。


 母親を何とか追い返したい桑野は、仮住まいを用意させるべく、水漏れの原因を作ったリフォーム会社と交渉してほしいと、育代を連れて弁護士・まどか(吉田羊)に依頼する。その後、有希江(稲森いずみ)のカフェに行き、英治(塚本高史)とも久しぶりに再会した育代は、息子のまわりにたくさんの人がいて安心したと思わず胸の内を明かす。


 普段は互いに憎まれ口を叩き合っている桑野親子の本音、母親の愛情を感じたまどかは「お母さんといると、自分の母親といるより落ち着きます」と、育代に自身の母娘関係についての悩みを打ち明ける。


 まどかの母親はなぜか娘に事あるごとに対抗心を向けてくると言い、まどかも母親の前では気が休まらないらしい。どうやら少し前に話題になった「毒母」的な側面が垣間見えるようだ。


 母親の誕生日を目前に控えたタイミングで、つい喧嘩をしてしまう桑野親子。「こんな息子でも良いと誰かが一緒に暮らしてくれたらと願っていた私が間違えていた。不幸な女性を生み出さないためにもあんた結婚しない方がいい」と捨て台詞を吐いて育代は家を出てしまう。母親の居場所を気にしていた桑野だったが、なんと隣人の早紀(深川麻衣)宅でまどか、有希江、姪っ子のゆみ(平祐奈)によって育代の誕生日会が開催されていた。


 意地を張って誕生日会に参加できず終いだったが、最後に滑り込みでなんとか誕生日プレゼントを渡せた桑野。「こんな風にお誕生日にモノを貰うのもあと何回かしらね。いつまでもあんたの側にいられる訳じゃないのよ」と言う育代の言葉に思わずハッとさせられたのは桑野だけではなく、チクリと心が痛んだ視聴者も少なくなかったのではないだろうか。


 育代はまどかに何かシンパシーを感じているのか、「信介と人としてこれからも付き合ってやってください」とお願いした上で、「間違っても信介が可哀想だから結婚しようなどと仏心を起こさぬように」と言い添えていたが、育代の登場によってよりまどかと桑野が互いの事情に触れ、結果距離が近づいたのは間違いないようだ。


 劇的な出来事は起きないながらも桑野と彼を取り巻く周囲との関係がより濃厚になっているが、次回は女子3人旅が描かれ、そこでまさかの桑野と遭遇!? それぞれが今後見つけていくのであろう「幸せ」の形にも注目したい。かねてから桑野を悩ませるやっくんブログのブログ主の正体にも近づけているのかも気になるところだ。


■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2018年の劇場鑑賞映画本数は96本。