2019年10月29日 11:11 弁護士ドットコム
茨城県守谷市の高速道路で起きたあおり運転事件で、車に同乗していた女性被疑者と似ているとしてデマを流され、名誉を傷つけられたとして、誹謗中傷を受けた東京都の女性が愛知県豊田市の原田隆司市議(57)に慰謝料100万円を求める訴訟を東京簡裁に起こした。
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提訴は10月21日付。訴訟は25日付で東京地裁に移送された。
訴状によると、原田市議は自身のFacebookに、女性の名前や顔写真が掲載されたツイッターのデマ投稿や女性のインスタグラムのスクリーンショットと共に、「あおり運転指名手配 同乗の女も見つけたようです。たぶん一緒にいるんでしょうね。早く逮捕されるよう拡散お願いします」と投稿していた。
原田市議の行為について、女性側は「虚偽情報の発信源ではないとしても、市議会議員という公的な立場において積極的な拡散を試みるものであり、悪質なもの」と主張している。
原田市議は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「早く捕まるといいなという思いで掲載した。軽率な行動で、申し訳なかった」とコメント。知人から女性は無関係であると指摘され、投稿は4時間ほどで削除したという。訴訟については、弁護士を通じて和解を申し込む予定だという。
代理人の小沢一仁弁護士は、弁護士への大量懲戒請求事件を引き合いに、「特定の人物に対し、不特定多数の人物が一斉に攻撃をするという、前例の少ない類型の事件にあたると思うので、こちらの主張に対し裁判所がどのような判断をするか注目したい」と話した。
小沢弁護士によると、SNSや匿名掲示板などで同じようなデマを流した百件単位の投稿や記事についても、発信者情報開示請求の手続を進めている。
現在は、SNSなどの管理者に対してIPアドレスの開示を求める「発信者情報開示の仮処分」の申し立てが終わり、IPアドレスから割り出したプロバイダに対して、訴訟が終わるまでアクセスログを消去しないよう求める「発信者情報消去禁止の仮処分」の申し立てを行っている。
これが終わり次第、プロバイダを相手方とする「発信者情報開示請求訴訟」を提起することになる。氏名や住所など発信者情報が開示され、発信者を特定できた場合は、発信者に対する損害賠償請求などを検討するという。