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『テラスハウス』東京編:第17~20話ーー新メンバーの入居によって一気に高まる恋愛への気運

2019年10月29日 10:41  リアルサウンド

リアルサウンド

『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

 翔平と香織が相次いで卒業し、かわってプロバスケットボール選手の凌と女子プロレスラーの花が入居。今までになかった“突然の卒業”の連続によって慌ただしくメンバーが入れ替わるなか、(ペッペ、愛華を含めた)パワフルな新メンバーと比べた初期メンバーの怠惰さ(主に水回り問題)や恋愛への草食性が浮かび上がってきた。


(関連:『テラスハウス』東京編・第20話ーー新メンバー・花が早くも一目惚れ、“卒業の定番”が変化?


 『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』も、気づけば20TH WEEK目に突入している。はじまった当初こそ、翔平の「興味があるんだけどさ、強く」発言(1TH WEEK)や莉咲子の消え入るような「付き合って」発言(4TH WEEK)など、恋愛のスピード感を感じさせてくれていたものの、結局ここまでカップルの誕生はなし。「このまま2020年に突入してしまうのでは?」と焦ってしまうほどの鈍行列車のありようだ。果たして、新メンバーたちはこの現状を打ち破ってくれるのだろうか。そうしたあたりへの期待も含めつつ、「“テラスハウスの現状”を体現する流佳」「ミステリアスな愛華に翻弄される男たち」「恋愛にアグレッシブな新メンバー」という3つのトピックから第17~20話を振り返ってみたい。


■流佳を見れば“テラスハウスの現状”がわかる?


「4カ月もずっといて、うちらダラダラしちゃったじゃん」(春花/17TH WEEK)


 このままだと、新メンバーの愛華やペッペもそのダラダラに引き込んでしまうのではないかと危惧する春花。そして翔平は、その言葉にハッと気付かされたように、突然の卒業を決める。確かにイチ視聴者としても、その“ダラダラ感”を感じなかったわけではない。恋愛をするという空気感の抜けた、友情(あるいはそれ以下の“ただの同居人”)でつながった関係。「居心地がいい」と翔平が吐露するのだから、よっぽど安定しているのだろう。それを悪いとは言えないけれど、やっぱり『テラスハウス』というコンテンツには、恋愛の駆け引きや、ときに訪れる衝突のような、“不安定なドキドキ”を求めてしまう。


 そしてここ最近の問題は、そういうふうにテラスハウスが安定・停滞しているならまだしも、ともすればメンバー同士でお互いを低め合っているのではないか? という事態が数度起きていること。言うまでもなく、その一番の例は、水回り問題だ。風呂場・洗面所の汚さや台所に残る食器といった水回り問題は、ほぼ毎シーズン話題に上がることではある。そのたびに正そうとするメンバーも現れるのだけれど、それが新メンバーの役目になってしまうのは、あまりにも悲しい。常にダイニングで仕事をしているペッペや、間違いをやさしく指摘する体育会系の凌によって、そのあたりが改善され、お互いを高め合う空気感まで出てくるとよりおもしろい。


 そうしたテラスハウスの空気感が、すべて流佳に反映されているのも、注目すべきポイントだ。数話前までは、バイトのギリギリまで惰眠を貪り、夢に向けた一歩を踏み出せずに悶々としている風景が映し出されていた流佳。テラスハウス全体とも重なるその停滞感。それがまずは料理という身近なものに手をつけはじめ、ペッペからペンネアラビアータのつくり方を教わったり、個人では英語教室に通いはじめたり、凌やペッペと英語で会話しようと試みたり、みるみる成長しているのがわかる数週間になっている。夢に向けた歯車が動き出し、水回り問題も流佳にひとつ原因があったようだが、凌の指摘によって改善の兆しが見えはじめた。そうすると次に気になるのが恋愛面。これもまたある女性の登場によって、流佳およびテラスハウス内の気運が高まってきているように感じられる。


■ミステリアスな愛華、わかりやすい花


 妙に色っぽく、ときにミステリアスな雰囲気を感じる愛華。まだ何者でもない一般の大学生という立ち位置でありながら、彼女には何か人を惹きつけるものがある。「飲みません?」の一言で翔平をクラッとさせ、フラットな「帰りたくない」発言でペッペの心を掴む。流佳もどうやら少し惹かれているようだし、彼女の男を翻弄する魅力には計り知れないものがあるのかもしれない。何はともあれ、愛華の登場によって、テラスハウスが恋愛色を取り戻したのは、確かだろう。気になるのは彼女が誰を好きになるかという点だが、今のところほとんど予想がつかないのも楽しい。


 翔平、香織と入れ替わりで入ってきた新メンバーの凌、花も恋愛へはアグレッシブなようだ。とりわけ花が、入居して間もない時点でみんなの恋の矢印を把握しようとかかり、ときにペッペや流佳の気持ちを加速させながら、自分自身もすぐに恋に落ちてしまう姿には、かのレジェンド住人・島袋聖南の雰囲気さえ感じたものだ。テラスハウスの恋愛状況をわかりやすくしてくれて、自らも驚くほど感情がわかりやすい花。対照的に、真の意味では感情の読めない愛華。彼女たち二人がテラスハウス内をかきまわすことによって、現状の恋愛停滞前線を追っ払ってくれることを期待している。(文=原航平)