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田中裕子がいなければ企画中止だった!? 『ひとよ』佐藤健、白石和彌監督らが明かす名女優の風格

2019年10月28日 13:11  リアルサウンド

リアルサウンド

白髪で役に挑んだ田中裕子 (c)2019「ひとよ」製作委員会

 11月8日に全国公開となる佐藤健主演映画『ひとよ』より、田中裕子の新場面写真と白石和彌監督のコメントが公開された。


参考:佐藤健、松岡茉優らのコメントも 白石和彌監督最新作『ひとよ』メイキング収めた特別映像公開


 『凶悪』『孤狼の血』の白石監督が手がけた本作は、“家族の絆”の歓びと哀しみを描いたヒューマンドラマ。どしゃ降りの雨降る夜、ある家族にひとつの事件が起きた。それは、母親とその子どもたち三兄妹の運命を激変させた。その夜から、心の傷を抱えたまま別々の人生を歩んだ家族は、15年後に再会。葛藤と戸惑いの中で、一度崩壊した家族の絆を取り戻そうともがき続けた先に訪れる結末とは。


 15年前の事件に縛られ家族と距離を置き、東京でフリーライターとして働く次男・雄二役で佐藤が主演を務める。町の電気屋に勤務し、三兄妹で唯一自身の家庭を持つが夫婦関係に思い悩む長男・大樹を鈴木亮平、事件によって美容師になる夢を諦め、スナックで働きながら生計を立てる末っ子の妹・園子を松岡茉優がそれぞれ演じる。


 そんな三兄妹のもとへ15年ぶりに帰ってくる母親・こはるを演じているのが田中だ。近年は舞台『NINAGAWA・マクベス』やドラマ『anone』(日本テレビ系)、そしてNHK連続テレビ小説『なつぞら』などの出演が話題となった田中だが、映画にメインキャストとして出演するのは今回が久々。本作で田中が演じるのは、夫の暴力から最愛の子供たちを守るため、夫を殺めてしまう母親・こはる。子供たちを救うべく罪を背負うことを選んだこはるは、「15年経ったら必ず戻って来る」と三兄妹に言い残し、警察へ出頭。約束通り15年後に帰って来るこはるだが、三兄妹は母が起こした事件によって人生を狂わされ、戸惑いと葛藤の中で再会の時を迎えることになる。


 主役級キャストの集結で話題の本作だが、実は最初に配役が決定したのは田中。映画の企画が動き出した段階から、白石監督が出演を熱望し、田中に決まらなかったら映画の企画自体を中止にしようと考えていたほど、念願叶っての実現となった。キャスティングが決定した後は、田中は半年ほど他の仕事をストップし、本編に登場しているような、こはるのグレーヘアを自身の髪の毛で作り上げるために専念。田中から「白髪でやらせていただけませんか?」と早い段階から提案があり、田中の役への向き合い方やその情熱に、白石監督も思わず感激したのだという。さらに撮影が始まると、白石監督は「全てが美しい、素敵ですね」と田中を絶賛。「それは容姿がということではなく、人としての存在の美しさや、物語をより美しくしてくれる存在であったり、色々な部分で、今までの田中さんのキャリアを含めて拝見している感じです。背筋が伸びる思いでやっています」と、女優・田中裕子のもたらすパワーを間近で体感していたようだ。


 現場では、白石監督と演技についてディスカッションを重ねることも多く、さまざまなアイデアが撮影に活かされたという田中。次男・雄二役で主演した佐藤は、時にシリアスに時にコミカルに、温度の異なる芝居を自在に繰り広げる田中について、「見れば見るほどすごいことをされていると感じた」「目が合った時に鳥肌が立った」とその凄さを語っている。(リアルサウンド編集部)