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大阪市議会「選択的夫婦別姓」法制化を求める意見書を採択 自民だけが反対

2019年10月25日 17:52  弁護士ドットコム

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大阪市の市議会「大阪市会」で10月25日、選択的夫婦別姓の法制化に向けた議論を国に求める意見書を、賛成多数で採択した。最大会派の大阪維新や公明などが賛成にまわり、自民だけが反対した。また、大阪府議会でも自民や公明などが反対を表明していたが同日、同様の意見書を採択した。


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これは、全国の地方議会に陳情を行なっている市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」のはたらきかけによるもので、同アクションとしては全国で30件目の採択となる。政令指定都市としては横浜市、広島市に続いて3市目。



地方議会では自民会派による反対が続いている。東京都議会は6月に選択的夫婦別姓の法制化を求める請願を賛成多数で可決したが、自民の反対があり、国に送る意見書の採択には至っていない。



●「娘たちが結婚する時には選択肢を増やしてあげたい」

全国陳情アクションのメンバーである大阪市の北村昌子さん(50)は、採択の瞬間を議場で見守った。



「うれしいです。やったーと思いました」と喜びを語る。北村さんは20年の結婚生活で、夫婦同氏を強いられることに違和感を抱いてきた。改姓により自身のアイデンティティを奪われたように感じること、また、プライベートに関係のない仕事関係の人たちにまで、結婚したことを知られることに抵抗があったという。



そんな折、大阪維新の吉村洋文大阪府知事が7月1日、ツイッターで「僕は選択的夫婦別姓に賛成です」と表明した。



これをきっかけに、北村さんたちは、大阪維新の議員の協力を得て、8月に府議会、9月に大阪市会の議員対象に選択的夫婦別姓について知ってもらう勉強会を開催。議員たちに協力を訴えてきたという。



「私には娘が2人いますが、娘たちが結婚する時には選択肢を増やしてあげたいです」と北村さん。同日午前中は大阪府の堺市議会の議員を対象に勉強会を実施するなど、選択的夫婦別姓への理解を求めている。



●「同氏は合憲」最高裁判決に地方議会から「NO」

現在、全国の地方議会で選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書の採択が続いている。全国陳情アクションの井田奈穂事務局長によると、2015年の最高裁判決以前は20件に満たなかったが、以後は3倍以上、約60件となっているという。「2015年最高裁判決や、その後も動かない国会に対し、怒りを感じた国民が自ら動いた結果です」と話している。



●「選択的夫婦別姓制度の導入は、男女ともに活躍できる社会実現につながる」

今回、採択されたのは、「選択的夫婦別姓制度の法制化に関する意見書」。選択的夫婦別姓について、最高裁は2015年12月に「夫婦同氏」とする民法規定を合憲とする判決を示したが、その際に「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならない」と、国会議論に委ねられていると指摘している。



一方で、全国で選択的夫婦別姓を求める訴訟が相次いでいることや、少子化による一人っ子同士のカップルが増え、「改姓」という壁が結婚を妨げて事実婚を増加させているという声があること、さらに子連れ再婚や高齢になってからの結婚・再婚も増加傾向にあることから、選択的夫婦別姓制度の導入は、「改姓を望まない男女が不利益を案ずることなく結婚でき、老後も法的な家族として支え合い、男女ともに活躍できる社会実現につながると言われている」として、議論の促進や関連法令の審査を積極的に進めることを要望している。



【追記】 大阪府議会の採択結果を追記しました(2019年10月26日9:00)