2019年10月25日 11:32 弁護士ドットコム
いったい2人に何があったのか。音楽プロデューサーの小室哲哉さんと歌手のKEIKOさん夫妻が現在、離婚調停中だと報じられている。NEWSポストセブン によれば、『女性セブン』の取材に対して、KEIKOさんは復縁を否定したという。
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2人は2002年に結婚。その後、2011年にKEIKOさんがくも膜下出血で倒れると、大分の実家に戻ったため、事実上、別居状態にあったようだ。また2018年1月には、小室さんと親しい関係にある女性の存在を『週刊文春』が報じていた。
報道では、離婚を申し立てたのは小室さんだったようだ。では何故、2人が離婚を望んでも、話がまとまらないのか。その背景を濵門俊也弁護士 に聞いた。
なぜ当事者が離婚に同意しているのに、話がまとまらないのでしょうか。
「離婚には同意しても、養育費や財産分与で話がまとまらず、調停、裁判へ移行するケースは珍しくはありません。詳細な情報も乏しく、夫婦のことはお二人しかわからないことなので、具体的なコメントは差し控えますが、小室さん夫妻はお子さんがいないことから、争点となっているのは、財産分与と別居期間中の婚姻費用ではないかと推測されます」
財産分与はどのように決まるのでしょうか。
「夫婦は、家庭生活を共にし、その中で協力して財産を築いていくことが通常です。夫婦で築いた財産は、共有の財産といえますから、離婚の際に、二人で分割することになります。これを『財産分与』といいます。
一言で『財産分与』といっても、(1)清算的財産分与、(2)扶養的財産分与、(3)慰謝料的財産分与の3種があります。
財産分与のうち、もっとも多いのが『清算的財産分与』です。結婚している間に、夫婦で協力して築いた財産について、貢献度に応じて公平に分配しようというルールです。基本的に貢献度は夫婦2分の1ずつ、とみなされます」
2つ目の「扶養的財産分与」は、どのような意味でしょうか。
「2つ目の『扶養的財産分与』は、離婚によって、夫婦の片方が生活に困窮してしまうような場合に、その生活を補う意味で財産を分与する方法をいいます。
病気があって働けないなどの事情で、『清算的財産分与』だけでは生活が苦しくなる人もいるでしょう。そのような場合、この扶養的財産分与も加えて検討されることになります」
3つ目の「慰謝料的財産分与」はその名の通り、慰謝料とは違うのでしょうか。
「慰謝料と財産分与は本来区別して考えるものですが、まとめて一つにして、『財産分与』として取決めをおこなうことがあります。慰謝料という名目の支払いを拒んでいるような場合に、財産分与の名目で慰謝料相当額を盛り込み、このような解決を図ることがあるでしょう」
小室さん夫妻は、別居中の婚姻費用をめぐる争いも報じられています。
「婚姻費用とは、生活を維持するために必要な生活費のことです。法律でも『夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する』と定められています(民法760条)。
別居中、調停中でも夫婦には婚姻費用を分担する義務がありますが、原則として、過去分の請求はできません。実務では、義務者の支払義務は、権利者が請求したとき(通常は婚姻費用分担調停または審判の申出時)に生じるとすることが多いようです」
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/