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『LoL』、驚き生んだ8つの新企画はBlizzardへの宣戦布告? 海外メディアが報じた「最大の賭け」

2019年10月22日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 Riot Gamesは10月15日、10周年記念のライブストリーム中に、League of Legends(LoL:リーグ・オブ・レジェンド)をベースにした格闘ゲーム、FPS、カードゲーム、TVアニメシリーズ等、8つの新しいプロジェクトを発表した。


(参考:アメリカによるイランへの経済制裁は『LoL』にまで ゲームは政争の道具になってしまうのか?


・Blizzardに宣戦布告? モバイルゲームを重視
 『PC Gamer』は「ライアットの7つの新しいゲームはBlizzardに対する宣戦布告」という見出しで報じた(参考:https://www.pcgamer.com/riots-7-new-games-are-a-declaration-of-war-against-blizzard/)。


 過去10年間、Riot Gamesはバブルにハマった。8つの新しいプロジェクトを発表は、最大のライバルであるBlizzardに対する最初の攻撃のような印象だ。


 来年、リーグ・オブ・レジェンドのカードゲーム『Legends of Runeterra』がリリースされ『Hearthstone』と競合する。これらのゲームは単なる競争以上の価値があり、Blizzardとは異なるのは、全てのプロジェクトで統一の世界とキャラクターの利点を享受できるという点だ。


 また、これまではPCゲームの開発に力を入れていたRiot Gamesだが、今回の発表の半分はモバイルゲームに関するものである点にも注目したい。


・LoLと全く異なる謎のシューティング・ゲーム「プロジェクトA」
 『The Verge』は、設立から10年が経ったRiot Gamesが、大きな転換期に差し掛かっていることを示唆している(参考:https://www.theverge.com/2019/10/15/20915506/riot-games-league-of-legends-10th-anniversary-marc-merrill-interview)。


 『リーグ・オブ・レジェンド』がデビューしてから10年が経ち、Riot Gamesは最終的に次のリリースを発表する準備ができた。今回発表されたプロジェクトには、LoLのスピンオフ以外にも、「Project A」というコードネームが付けられた、全く新しい世界観の謎のシューティングゲームも開発中であることが明かされた。


 Riot Gamesの最初の10年間は、ほぼ単一のゲームだったが、次の10年は、その基盤の上に築くことになるのかもしれない。


 同タイトルは、全く新しいユニバースを舞台にした戦術的なシューティング・ゲームのようで、マーク・メリル氏は「その理由は簡単だ。LoLの世界、特にキャラクターは、この種のシューティング・ゲームではうまくいかない」と説明した。


・LoL世界観からの逸脱は最大の賭け、LoLアニメはもっと危険
 『Forbes』には「『リーグ・オブ・レジェンド』の後はどうなる?ライアットが10年ぶりの新作ゲームで大きな賭け」という見出しで報じた(参考:https://www.forbes.com/sites/mattperez/2019/10/15/is-there-life-after-league-of-legends-riot-bets-big-on-its-first-new-game-in-10-years/#27e8a1162edc)。


 共同設立者であるマーク・メリルとブランドン・ベックが2009年10月にゲームをローンチした時には想像できなかった成功を収めている。世界大会では、約1億人がストリーミングした。


 今まで200億米ドルの収益を生み出し、2011年に中国のインターネット大手Tencentに売却した際、事業は3億6,600万米ドルの評価額だった。NielsenのSuperDataによると、2018年の収益は17億米ドルで、ビデオゲームとしては高額だが、2016年の29億米ドルとはかけ離れている。


 市場シェアは、他の無料ゲーム、特にスマートフォンからPlayStationに至るまで何でもプレイできる『Fortnite』(フォートナイト)によって奪われており、PCでしかプレイ出来ない『リーグ・オブ・レジェンド』は、そのシェアを落としているというわけだ。


 ウェドブッシュ・セキュリティーズ社のゲームアナリスト、マイケル・パクター氏は、このゲームは非常に人気があるが「間違いなく停滞している」と語る。


 今回、『Wild Rift』(ワイルド・リフト)と呼ばれるリーグ・オブ・レジェンドのモバイル版と『Teamfight Tactics』(チームファイト・タクティックス)という最新のゲームモードのバージョンを発表したことで、世界中ではるかに多くのオーディエンスがプレイ可能になるが、とはいえこの対応への遅れは、新しいプレイヤーを引き付けるのに苦労するかもしれない。


 だからこそ、「Project A」という賭けに出たのだろうが、LoLテレビアニメシリーズの複数シーズン制作はさらに危険といえるだろう。ゲームキャラクターの映画やテレビ番組の成功確率を考えると、場合によっては大きな打撃を被ることになる。


 良くも悪くも、一発目のゲームが大当たりし、その勢いでここまで来たといえるRiot Games。多角的にプロジェクトを推進していく今後は、より会社としての真価が問われるところだ。


(Nagata Tombo)