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変化する"祈りの形"、京都の老舗仏具メーカーが名和晃平や永山祐子らクリエイターと共に仏壇を製作

2019年10月21日 23:12  Fashionsnap.com

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1830年創業の京都の仏壇・仏具メーカー若林佛具製作所が、クリエイターと共に新しい仏壇のスタイルを提案するプロジェクト「レゾンデートル(raison dʼêtre)」を始動した。第1弾では彫刻家の名和晃平、建築家の永山祐子、プロダクトデザイナーの倉本仁、建築家でプロダクトデザイナーの板坂諭、インテリアデザイナーの橋本夕紀夫、デザイナーの眞城成男ら6人が参加。デザイン&アートフェスティバル「デザイナート トーキョー 2019(DESIGNART TOKYO 2019)」の一環として、作品を10月27日までGUM表参道で一般公開している。
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 同プロジェクトは、仏壇が持つ「家具として家に配置する物」「寺院をミニチュア化した建造物」「祈りの対象としてのオブジェ」という3つのアイデンティティーを抜き出し、再構築することで仏壇の在り方や祈りの形を見つめ直す取り組み。同社の若林智幸代表取締役社長は仏具業界を取り巻く状況を「『終活』や『エンディング産業』といった言葉が飛び交うようになり、この10年で仏壇や祈りに対する形や考え方は変わってきた」とし、プロジェクトの立ち上げの背景について「果たして祈りの対象とは何なのだろうと、もう1度仏壇の存在意義を問い直したいと考えた」と話す。各クリエイターは製作にあたり、2~3日間かけて京都で活動する職人たちの元を訪問。今回製作したそれぞれの作品には、寺社仏閣や従来の仏壇と同様に漆塗、金箔箔押し、蒔絵、彩色など、多種多様な職人たちの伝統工芸の技術が複合的に落とし込まれているという。

「鳳 / 凰」 
 名和は、大丸心斎橋店 本館に展示されている作品を2分の1のサイズに仕上げた「鳳 / 凰」を製作。コンピューターによる設計をもとに、仏師が手彫りの作業を行った。なお、今回の展示では彫り出した段階の作品を公開している。

「玉響厨子」 
 仏壇を手掛けるのは初めてだという永山は、「個人を祀る場所としてだけではなく、忙しく日々を過ごす人々がほっと一息つくことができるメディテーションの一つ」として「玉響厨子」を製作。様々な伝統建築からインスピレーションを得た形状で、扉を開けてろうそくを灯すと蒔絵が浮かび上がるデザインに仕上げた。
 このほか、眞城はペット用の仏壇「Perch」、橋本は20cm幅の細長い形状が特徴的な「magokoro」、倉本は色や装飾をカスタマイズできる「祈像」、板坂は遺品や故人に向けた花を手向けることができる花器「animus」を披露した。若林佛具製作所では、今回発表した作品を受注生産で販売する予定。今後も同社では、職人たちの高い技術の継承を目的とした新たな試みとして、様々なデザイナーと協業したアートピースやプロダクトの開発に取り組んでいくという。

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■開催概要会期:2019年10月18日(金)~10月 27日(日)会場:GUM表参道住所:東京都港区北青山3-10-25電話番号:075-371-3131時間:11:00~19:00(最終日10月27日は17:00で終了)若林佛具製作所:公式サイト