2019年10月18日 20:11 弁護士ドットコム
安定していると言われる公務員だが、今やかなりの割合で非正規雇用に置き換えられているーー。
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雇用不安や不合理な格差に苦しむ「非正規公務員(非常勤職員)」の実態を知ってもらおうと、正規・非正規の国家公務員など約7万人が加盟する国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)が現場の声などをまとめたパンフレットを制作し、10月18日に発表した。
国公労連は、「非常勤職員がいないと仕事が回らないのが現場の実態、共通認識であるにもかかわらず、処遇には差がある」と抜本的な改善を訴えている。
国の非常勤職員は、国家公務員全体の約4分の1を占め、常勤職員と同じように専門的な行政サービスを担っている。
たとえば、ハローワークで就職支援などにかかわる職員は、知識だけでなくカウンセリングの技術なども求められる専門職だ。しかし、その大半が非常勤職員だという。
契約は1年更新。3年に1度は「公募」に応募し、ほかの求職者も含めた選考を突破しなければ仕事を続けられない。職業を紹介する側の雇用が不安定なことについて、パンフレットは「まるでブラックジョークだ」と指摘する。
こうした仕組みは「パワハラ公募」とも呼ばれ、非常勤職員の負担になっている。パンフレットでは、「職員の専門性を無視している」「雇用不安による精神疾患に職員が晒されている」「制度自体がハラスメント・雇止めの温床になっている」などと批判されている。
また、非常勤職員をめぐっては、常勤職員とのあいだで「各種手当」「休暇の日数」などの点で不合理な格差も残っている。
国土交通省の地方出先機関で働く女性は、寒冷地手当がないなどの不合理な格差に疑問を抱いている。暖房費用は年間十数万円かかるといい、生活の負担になっているという。
「常勤の同僚からウインタースポーツに誘われても、私はとても一緒に行けず、情けない思いをしている。常勤には、インフルエンザの予防接種に補助金が出るが、非正規は自腹だ。健康面でも不平等な扱いをされている」(女性)
民間では、2020年4月から「同一労働同一賃金」ルールが始まるが、その範となるべき公務職場の労働実態は、均衡待遇には程遠いーー。国公労連は「非正規差別をなくしたい」と訴えている。