単身者にとって大きな問題である「孤独死」だが、近隣に暮らす住人にとっても、かなり気掛かりな問題だろう。マツコ・デラックスさんが、10月8日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)に出演し、孤独死について「本来、人が家で死ぬのはごくごく普通のこと」などとコメントした。
番組では、夕刊フジの相談コーナーを紹介。56歳男性からの相談で、マンションの隣室で「独居死」があり、妻が怖がって引越ししたいと言い出した、という内容だ。記事で相談に答えた医師は、その気持ちは当然のことと受け止めつつ、高齢化社会の現代、どこに住んでも似たようなことがあるとコメント。時の経過と共に恐怖や不安は軽くなっていくとして、時間を置いて冷静になるまで、引越しなどの重要な決定は先延ばしにするよう助言している。(文:okei)
「昔はみんな家で息を引き取ってた。文明の発達が、いろんなものを捻じ曲げちゃう
これにマツコさんは理解を示し、「マンションの隣だと結構くると思う」と、奥さんの精神的ショックの大きさを慮った。実はマツコさんも昔、実家で近所の人が孤独死した経験があるのだそう。亡くなった方とは普通に仲良く近所付き合いしていたため、マツコさんの母は「なんで見つけてあげられなかったんだろう」と、しばらくふさいでいた時期があったという。
マツコさんは、「マンションだと壁一枚なわけじゃない? それでご近所付き合いとかしてたら、ちょっとその場から逃げたくなる気持ちはわからないでもないよね」と精神的ダメージの大きさに共感した上で、「きっと知らないだけで、家の中で人が亡くなるのは本来普通のこと」と考えを語った。
「いまは病院とか施設とかで亡くなるケースが多くなってきたから、人が家で死ぬってことがすごく、恐怖。自分の死への恐怖と重なって。でも、昔はみんな、最後は家で息を引き取ってたわけだから。……文明が発達するのって、いろんなものを捻じ曲げちゃうのね」
「人間が(家で)死ぬってのは、ごくごく普通のことだもん」
と、感慨深げに語った。
MCのふかわりょうさんが、「お墓の隣に家があることに抵抗がありますか?」と尋ねると、「全然ない。むしろ絶対家が建たないから、日当たり絶対いいじゃん。見晴らしもいいし」と、何を怖がるでもないフラットな姿勢をみせた。
孤独死は身近に? 賃貸オーナー向けに「孤独死保険」が発売される時代
マツコさんといえば、独身で一人暮らしのため、孤独死の不安に対して「お金で若い子と縁を持っておくってのは大事かもね」などと語っていたこともある。孤独死は他人事ではないという気持ちがどこかにあるだろう。しかし、「もし隣人が」と考えると、もはや誰にとっても他人事ではないと思い至る。
孤独死には全国的な統計がなく、正確な数は不明だが、近年増加していることは確かだ。賃貸物件では、孤独死が発生すると原状回復の費用や家賃が下がるなどの損害となるため、東京海上日動火災保険は「孤独死保険」を発売している。多くの賃貸オーナーにとっては別の意味で頭の痛い問題だ。
だが一般的には、隣人の死がどんな形であろうと、マツコさんの言うように「自宅で亡くなることは普通」と捉えるほうがいいかもしれない。