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TWICE、『Feel Special』は現在の立ち位置を確かめる一枚に 作品に込められた熱い思い

2019年10月08日 10:31  リアルサウンド

リアルサウンド

TWICE『Feel Special』

 TWICEが韓国で8番目のミニアルバム『Feel Special』をリリースした。主要チャートでトップとなっており、衰えぬ人気をアピールしている。


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 日本と韓国の関係が厳しいにも関わらず、彼女たちの活動は相変わらず好調だ。ここ最近は、韓国で半年に一度のペースでミニアルバムを出しながら、その合間に日本でシングルやフルアルバムなどを発表。他のアーティストと比べてかなりのリリース量だが、いずれの作品も大ヒットを記録した。同時にライブをはじめ、各種イベントやテレビ&ラジオ出演なども多くこなしているのだから驚いてしまう。


 音楽以外の話題にも事欠かない。残念ではあるが、ミナが7月から活動を休止している。所属事務所のJYPエンターテインメントの公式ホームページによると、彼女は「ステージに立つことに対して極度の心理的な緊張状態と大きな不安を抱えている」という。その後、複数の専門医療機関で診断を受けた結果、「不安障害」であることが確認された。


 そんな状況の中でリリースされた『Feel Special』は、過去のアルバムとは少しテイストが異なっている。いつも明るく元気な姿を見せてきた9人のメンバーが、今までの歩みを振り返りながら、現在の立ち位置を確認すると言ったらいいのだろうか。ポジティブな姿勢はいつもと同じだが、冷静な視点も感じさせる作品に仕上がっているのが興味深い。


 オープニングを飾るタイトル曲「Feel Special」は、TWICEの育ての親であるパク・ジニョンが作詞を担当した。メンバーと会話した内容をもとに書いたという歌詞は、気になる表現やワードが散りばめられている。“そんな日がある/突然ひとりぼっちのような気分になる日/どこに行っても私のいる場所じゃないと思い/うなだれてしまう日”という一節は彼女たちの率直な気持ちなのだろう。そして、そんなつらい状況でもあなたの微笑みと救いの手によって“特別な私に変わる”とたおやかに歌う。


 「Feel Special」のサウンドメイクは今までのヒット曲と比べて少し様子が違う。洗練されたたたずまいは、日本で今年夏にリリースされたシングル「Breakthrough」の延長線上にあるのかもしれないが、そこに夢や希望を感じさせるフレーズや音色を織り込んで別のものに仕上げている。また、TWICEのセールスポイントであるチアリーディング風のかけ声が入っていないのも、単なる応援ソングではないことを暗に示しているようだ。


 このミニアルバムではメンバーが作詞した作品が多く収録されているが、いずれも気になる内容ばかりである。ナヨン作詞の「RAINBOW」は、自分を信じて新たな道を見つけようと熱く語り、ジヒョが作詞に関わった「GET LOUD」では、軽はずみな言動に警告を鳴らす。TWICEのメンバー全員で作詞したという「21:29」はファンに向けた曲のようだ。“明日はその場所に/あなたがいなくても/大丈夫、あなたを I’ll remember”という歌詞の温かさが印象に残る。いつも以上に肩の力が抜けて表情豊かなボーカルも成長の跡がうかがえて頼もしい。


 新作『Feel Special』は、現在の自分たちの心境を明らかにしつつ、それを乗りこえようとする意志が込められている。さらに“この9人がそろってこそTWICEなのだ”ということも強調しているようだ。本作が今までのアルバムと決定的に違う点はここにある。K-POPの頂点に立ったものの、その危うさと怖さを知っているがゆえに、より結束力を高めてファンとともに進んでいきたい――。その熱い気持ちをしっかりと受け取ってほしいと思う。(まつもとたくお)