トップへ

MITが宇宙初期の銀河の形成過程をシミュレート、ダークマターは”ファジー”である可能性!

2019年10月06日 16:01  Techable

Techable

写真
[caption id="attachment_109468" align="alignright" width="300"] Image courtesy of the researchers,MIT[/caption]直接観測できないが、宇宙で起きている現象を説明するために存在が仮定されているダークマター(暗黒物質)。重力によるものを除いて、通常の物質と相互作用しない…との設定条件以外、性質についてもよくわかっていない。

ダークマターは銀河形成のきっかけを作るとも考えられているが、性質の設定によってそのあり方が大きく変わり、”熱い””冷たい”との設定で、それぞれシミュレートされてきた。結果、冷たいダークマター説が優勢とさられていたのだが、小さな銀河などでは矛盾する点が出てきてしまうことから、最近”ファジー(あいまい)”なダークマターとの新たな設定が持ち出されている。

このほど、MIT、プリンストン大学、ケンブリッジ大学の研究チームにより初めて、ファジーなダークマターによる宇宙初期の銀河の形成過程がシミュレートされたようだ。・質量は電子の約10億分の1宇宙で初めての銀河は、ビッグバン直後に、ダークマターが集まって「ダークマターハロー」を形成。重力により周囲のガスを引き込んで誕生…といったシナリオが想定される。

仮にダークマターが冷たいとすれば、粒子の動きはゆっくりとしたものなり、ダークマターが熱いとすればそれよりもやや速くなる。ところが、ダークマターがファジーだとすればこれらとはまったく異なる挙動を見せるという。

ファジーなダークマターは、個々の粒子ではなく、量子の波のように作用する粒子から成る。冷たいダークマター粒子の質量が電子の約10万倍なのに対して、ファジーなダークマター粒子の質量は電子の約10億分の1と超軽量だ。・ハープの弦のような縞模様が出現研究チームは、初期宇宙の小さな立方体空間を想定。直径約300万光年の観測範囲で時間を進め、銀河がどのように形成されるかを見た。

ビッグバンの40万年後の姿を反映した「宇宙マイクロ波背景放射」に基づいて、ある程度のダークマターの初期分布を仮定。冷たいダークマターのシミュレートに「シュレディンガー方程式」「ポアソン方程式」といった方程式を追加して、粒子が波として振る舞ったときのダークマターの分布や、重力の作用を生み出すモデルを織り込んだ。

シミュレートにより研究チームは、ダークマターが冷たい場合、初期宇宙の銀河がほぼ球形のハローで形成されていることを確認。これに対して、ダークマターがファジーもしくは熱い場合、伸びた尾のようなフィラメントで形成され、さらに、ファジーな宇宙では、これらのフィラメントは、ハープの弦のような縞模様に見えることを発見した。

シミュレート結果からは、ダークマターの性質がファジーである可能性があるという。

その答え合わせは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の稼働で実現する、時をさかのぼった宇宙の観測によってなされるだろう。

参照元:This is how a “fuzzy” universe may have looked/MIT News