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仲野太賀が語る、『いだてん』出演までの緻密な努力 「参加できる喜びは一味違う」

2019年10月06日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

仲野太賀『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(写真提供=NHK)

 『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)後編に突入してから、金栗四三(中村勘九郎)の弟子・小松勝役として仲野太賀が出演している。勝は、四三のようにオリンピックを目指し、熊本から東京まで四三と共に走り抜いた。今回リアルサウンド映画部では、勝役の仲野にインタビューを行い、念願だった大河ドラマ出演に懸ける思いについて聞いた。


【写真】『いだてん』小松勝の登場シーン


■「根拠もないのに説得してスケジュールを確保」


ーー大河ドラマへの出演が決まった時はどんな思いでしたか?


仲野太賀(以下、仲野):決まった時は本当に嬉しかったです。『いだてん』が制作発表されたその日から、ずっと熱望してたんですよ。『いだてん』の関係者に会うことがあれば、何が何でも出たいと言いまくってました(笑)。そして、どんな物語で、どんな役があって、いつ撮影なのか、とにかく聞きましたよ。でもことごとく「詳しいことは言えない」と言われてしまって。まぁ素晴らしいくらい口が堅いスタッフでしたね(笑)。


 しばらくして、状況は変わりませんが、事務所の方と「とにかくスケジュールだけ空けときましょう」と。「絶対(オファー)来るんで!」と根拠もないのに説得してスケジュールを確保しました(笑)。そしたら本当に出演が決まったので相当嬉しかったです。こんなにも自分が願って、それが叶うことって今までなかったですね。


ーーなぜそこまで出演したかったのでしょう。


仲野:そもそも僕は宮藤官九郎さんのファンでしたし、宮藤さんの作品が大好きだったので。もちろん『あまちゃん』(NHK総合)も観ていました。そのチームが大河ドラマをやる、さらに題材はオリンピックと聞いて「こんなの絶対面白いに決まってる!」と思いましたね。出演したかった理由はこれに尽きます。


ーー念願の大河に出演してみて周りからの反響はいかがですか?


仲野:『いだてん』には他の作品とは違う、お祭りの様な感覚もあって。参加できる喜びは一味違うんです。夏帆や柄本時生くんは友人でもあるので、出演が決まった時は喜びを分かち合いました。


ーー過去に大河ドラマは何作が出演していますよね。


仲野:4回ほど出演させていただいていますが、大河ドラマの出演者の公式発表で自分の名前を発表されることがずっと憧れでした。2年半前に『いだてん』の制作発表があった時に、「これだ!」と思って。発表されるかどうかは、『いだてん』の撮影までに自分がどれだけ積み上げていけるか次第だと思っていました。無事、正式に発表してもらえて、本当に嬉しかったです。


■「これは強烈な縁」


ーー小松勝という役はどんな役ですか?


仲野:『いだてん』という作品の2つの時代を繋ぐキーになる役なので、とても重要な役だと感じています。僕は第32回から登場していますが、1回から32回までをスタッフやキャストの皆さんが必死の思いで物語を進めてくださっていたので、僕が演じる勝は下手なことはできないなと思いました。


ーー以前、勝地涼さんから「太賀と(中村)七之助さんと勘九郎さんと共演することを誓い合った」と聞きました。


仲野:勝地さんとNHKのドラマ『1942年のプレイボール』で共演していた時に、勝地さんが勘九郎さんや七之助さんと親交があったので、「平成中村座を見に行こう」と誘ってくださったんです。勘九郎さんを見たことがなかったですし、勘九郎さんといえば『いだてん』! とビビッときたので当時は興奮しながら見に行きました。その後『いだてん』の脚本をいただいたら、まさかの勘九郎さん、勝地さんと僕の共演シーンがあったので「これは強烈な縁だな!」と驚きましたね。七之助さんとも森山未來さんと3人で共演するシーンがあって、贅沢な3人だけの空間ですごく濃密な時間でした。『いだてん』的には 志ん生(森山未來)と圓生(中村七之助)と勝が一緒にいるという歴史的瞬間だし、あとに繋がるシーンなので大事に演じました。


ーー勝にとって金栗四三はどんな存在ですか?


仲野:勝からしたら金栗四三はヒーローでもあり、心の父でもあり、師なんだと思います。劇中で四三がオリンピックで着ていた日本代表のユニフォームも、勝は自分で作って着ているという設定なんです。勝は14歳くらいの年齢から登場しますけど、もっと前から、四三は勝にとってヒーローだったのではないかと思っています。勝は、憧れの先輩を前に浮かれているというタイプではなくて、同じランナーとして、先生にさえも負けたくないという強い思いを持っているやつだと感じています。一緒に走るシーンでは、四三に先に行かれていたら追い越して、また追い越されたら追い越して、というせめぎ合いが楽しさでもあったし、師弟の形だなと感じました。


(Nana Numoto)