2019年10月05日 21:41 弁護士ドットコム
「店を辞めたのに、風俗店のホームページに掲載された顔写真を削除してもらえません」。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられている。
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相談者は、面接の際に「入店後の写真は店側に任せる」という旨の契約書にサインをしたという。しかし、体験入店したところ、店と合わなかったため、本入店はしないことに。写真の削除を求めると、店側は契約書があることを理由に応じてくれないという。
店のホームページから写真を削除してもらえずに困っている女性は、相談者だけではないようだ。
歌舞伎町のキャバクラで働いて5年になるというレイカさん(20代)は「まわりで風俗をしている子からよく聞く話」と話す。女性が辞めたり、少なかったりする場合は印象が悪くなるため、店側も削除したがらないようだ。
退店した女性の写真を掲載し続けることは「肖像権の侵害」にあたらないのだろうか。店側に写真を削除してもらうには、どうすればよいのだろうか。松田有加弁護士に聞いた。
ーー女性が退職後も店が写真を掲載し続けた場合、「肖像権侵害」にあたる可能性はあるのだろうか
「店側との契約書の内容次第になるでしょう。
契約書中に『特段の定め』(たとえば、女性の退職後も店側が女性の肖像を利用し続けることができるという定め等)がない限り、店側による写真の利用は女性の『肖像権侵害』になりえます。
そのため、女性側が店に削除を請求すれば、店はそれに応じなければなりません。
なお、店が直接運営しているウェブページだけではなく、店が集客のために情報の掲載を依頼していると思われる別のウェブページ(風俗情報サイトなど)にも写真が残っていることがあるため、注意が必要です」
ーー店側に削除を依頼しても応じてもらえない場合、どのように対応すべきだろうか
「風俗業界においては、そもそも契約書が作成されない場合が散見されます。
女性側も、家族などに風俗店で勤務していることを知られないようにするため、受け取った契約書を破棄したり、持ち帰らなかったりすることがあります。
このような場合、契約の内容を把握することが困難となり、店側に対する削除の要求が認められるかどうかが定かではなくなってしまうこともあります。
ただし、女性側の生活状況が変化するなどして、風俗店での勤務歴を知られたくないという状況になることも少なくないでしょう。店側には、その点についての十分な配慮を持った対応が求められると思います。
もし、削除を依頼しても相手にされないという場合には、弁護士に相談してみるといいでしょう」
【取材協力弁護士】
松田 有加(まつだ・ゆか)弁護士
子どもの権利擁護に強い関心があり、弁護士になる前、児童養護支援施設や法教育の授業に関わる活動を行う。特に芸能界で頑張る子どもや女性の助けになりたいという強い思いを持ち、何でも相談しやすい弁護士であることをモットーに、誠実に職務に取り組む。知的財産権、インターネット上の法的問題等を扱う。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/