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スーパーのレジバイトが遭遇した悪質クレーマー 「毎回わざわざ私のレジに並び、怒ってきます」という相談に注目集まる

2019年10月05日 08:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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理不尽な叱責や恫喝など、サービス業で働く人を悩ませる悪質クレーマーの被害は後を絶たない。ヤフー知恵袋に9月下旬、「私はスーパーでレジのバイトをしているのですが、40代の女性のお客様が、毎回わざわざ私のレジに並び、私に怒ってきます」という相談があった。

クレーム内容は、「商品にシールを貼るな」「袋詰めをしろ」などで、毎回言われたことは守っているものの、

「いくら笑顔で丁寧に接客しても、必ず文句を言ってきます」

と辛さを訴えている。相談者につらく当たることでストレス発散しているように感じられ、「また来ると思うと嫌でたまりません。職場は変えたくないのですが、どうしたらいいでしょうか」と切実に問いかけていた。(文:okei)

「日常で相手にしてくれる人がいないから、そこで発散してる可哀想な人」


この相談の閲覧数は1万4000以上にのぼり、ランキングでも上位に食い込んだ。それだけ、サービス業で嫌な思いをしている人が多いのだろう。回答欄には、同じ経験をした人が「気持ちわかります!いますいます、そういう客!」と共感していた。

「そういう人は日常で相手にしてくれる人がいないからそういう所で発散してるんです。可哀想な人なんです」

として、「そのおばさんが嫌でバイト辞めたい」と、店長や先輩に相談すると、店長たちも以前から困っており、出禁にしたいくらいだったとのこと。「そのおばさんが来たらレジ抜けていいよ」という配慮を受けたそうだ。話しただけでも心が軽くなったという。同様のアドバイスは複数あったので、まずは上の人に相談してみるといいだろう。なんらかの対応や理解を示してもらえないようなら、長く勤めることは難しい。

こうした悪質クレームは、カスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」と呼ばれ、近年増加しており度々物議を醸している。医療や介護を含めた多くのサービス事業者が頭を悩ませている問題だ。

悪質クレームで病む人多数、ハラスメントの防止義務はカスハラも含めるべきでは

流通・サービス業などの産業別労働組合「UAゼンセン」が2018年に行なった調査では、回答した約8万人のうち73.8%が、「暴言」や「脅迫」など、客からの悪質クレームを受けたことがあると回答している。また、悪質クレームを受けた人の約9割がストレスを感じ、およそ600人が精神疾患になったという。

行き過ぎれば恐喝や傷害罪に問われる可能性はあるが、カスタマーハラスメントそのものを取り締まる法律は今のところ存在せず、どこから「悪質」となるかも線引きは難しい。だが人手不足の現在、企業にとってもカスハラから従業員を守ることは大きな課題だろう。

来年4月から、職場におけるハラスメント対策の強化として、大企業でパワハラ対策の義務化が開始される。中小企業は努力義務でその後2年以内に義務化される見通しだが、悪質クレーマーによるカスタマーハラスメントは対象外だ。労働者を守る義務を企業に課すという意味では、カスハラから従業員を守るような対応の義務化も、求められているのではないだろうか。