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若者ほど"働きがい"を感じられない傾向明らかに 年収低いほど顕著

2019年10月03日 15:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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厚生労働省が9月に発表した2019年度版「労働経済白書」で、若い世代ほど働きがいを感じられていないという現状が浮き彫りになった。

人材不足を課題とする企業が増える中、今回は「働きがい」をテーマに調査を実施。「活力」「熱意」「没頭」などの観点から働きがいを数値化したワーク・エンゲイジメント・スコアでは、女性(3.45pt)が男性(3.39pt)を上回る結果を示した。

「役職なし」よりも「役職あり」 大企業よりも中小の方がやりがい感じられる

年齢別では、最下位が「29歳以下」(3.29pt)で、「30代」(3.38pt)、「40代」(3.42pt)、「50代」(3.44pt)、「60歳以上」(3.70pt)と、年齢が上がるにつれて高くなる傾向があった。

役職別でも同様に、「役職なし」(3.33pt)が一番低い。一方で「部長相当職以上」は3.76ptとかなり高く、「係長・主任相当職」(3.40pt)、「課長相当職」(3.45pt)を大きく引き離した。責任あるポジションにいることが一定の働きがいを与えているのだろうか。

企業規模別では、「21~50人」(3.47pt)が最高。「20人以下」(3.40pt)、「51~100人」(3.39pt)と続き、「1001人以上」(3.27pt)で最も低かった。安定していそうに見える大企業よりも、中小企業で働いている人のほうが生き生きしているようだ。

特にスコアが低い職種は「輸送・機械運転」「事務」

職種別1位は「教育関連専門職」(3.94pt)。一方、「輸送・機械運転職」(3.24pt)、「事務職」(3.27pt)、「建設・採掘職」(3.33pt)、「製造・生産工程職」(3.34pt)といった定型的業務の比重が高いと思われる職種では、スコアが比較的低かった。ストレスが多そうに見える「接客・サービス職」は3.52ptで他と比較して著しく低い、ということはなかった。

また、高スコアの人が勤めている企業では、雇用管理面で「職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化」「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」、人材育成面で「指導役や教育係の配置」「将来展望の明確化」などに取り組んでいることが分かった。厚労省は

「『働きがい』を高める取り組みとしては、職場の人間関係の円滑化や労働時間の短縮などに加えて、上司からの適切なフィードバックやロールモデルとなる先輩社員の存在を通じて、将来のキャリア展望を明確化することが重要である」

と指摘している。

年収アップで働きがい感じるのは30代まで

年収別にみると、役職を持たない39歳以下では「300万円未満」(3.25pt)、「300~399万円」(3.31pt)、「400~499万円」(3.40pt)。「500万円以上」(3.58pt)と、年収が上がるにつれ働きがいもアップすることがわかった。役職を持つ人のケースでも同様の傾向を示した。

対照的に、40代や50歳以上では年収の大小や役職の有無に関わらず、ほぼ横ばいの結果に。厚労省は

「人件費の増大といった費用負担が難しい企業であっても、仕事の在り方や職場環境を改善させる様々な工夫を重ねることによって、ワーク・エンゲイジメントを改善させることができる可能性があることを示唆している」

と考察している。