正規社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁じる「同一労働同一賃金」ルールが2020年4月から大企業で適用される。中小企業ではその1年後の開始だ。施行を前に、現在の状況はどうなっているのか、企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた口コミを改めて見てみたい。
「『同一労働同一賃金をいち早く実施した』と世間に公表していたが、社員への説明もなく変更後も説明はない」(物流サービス 30代前半 男性 正社員 年収500万円)
すでに同一労働同一賃金に取り組んでいる会社もあるようだが、肝心の詳細説明がないと、働く側は困惑してしまう。その状態が続けば、職場の混乱は避けられないだろう。【参照元:キャリコネ】
「正社員はリフレッシュ休暇や宿泊施設などの補助があるけど……」
「正社員への報酬は高いが、非正規社員は決して高いとは言えない。その一方で、質・量共に正社員以上の仕事をこなす、戦力外正社員の穴埋めを任される等の例も多い。ただし多く貢献しても賞与額は固定なので、査定に納得感は無い」(その他 30代後半 女性 契約社員 年収350万円)
「非正規雇用には、ほとんど何もないと言える。グループ店の割引や宿泊施設の割引などもあるようですが、使ったことはありません。正規雇用は、上記とは別のリフレッシュ休暇や宿泊施設などの補助がある」(調理スタッフ 20代後半 女性 契約社員 年収250万円)
厚労相の定める同一労働同一賃金ガイドラインでは、賃金だけでなく、ボーナスや退職金、福利厚生などの格差是正も含まれる。何から何まで帳尻を合わせるのは難しいところだ。しかし、企業側にはそうしたすべての項目を平等にする調整力が求められる。
「正社員と非正規社員との溝がありすぎる点は問題。上司は責任を取りたがらないから下の社員にミスを押し付ける。その上、成功したらしたで自分の手柄にしようとする。責任を取るのが嫌なので正社員から非正規社員になった方もいる」(代理店営業 20代前半 女性 正社員 年収250万円)
こうした話は賃金や待遇の格差是正だけでは解決しないケースといえるだろう。また、「どうせ非正規雇用でも同一労働・同一賃金なんだから、むしろ責任がない契約社員の方が楽だ」と逆手にとる人がでてきても不思議ではない。
「中途は基本契約社員スタートだが、正社員との待遇差はほとんどなく、むしろアルバイトでも店長やマネージャーをやっている人もいる」(店長 20代前半 男性 正社員 年収400万円)
今までの口コミとは違って、雇用関係に関わらず平等にするよう努めている会社もあるようだ。アルバイトや正社員を問わず、本人の実力による成果主義を実践している点に、正当な評価ぶりもうかがえた。
まだまだ問題が山積みといえる同一労働同一賃金。企業側の努力はもちろん、働く側もその目的をしっかりと理解することが大切だ。【参照元:キャリコネ】