最近よく目にする「自己肯定感」という言葉。様々な解釈がありますが、私が考える自己肯定感とは、「この自分でよし!」と自分の存在を肯定できる気持ちです。
でも、「この自分でよし!」と自分の存在を肯定することなんてとても出来ない。どうしても自分の事を否定してしまう。そんな人が「この自分と一緒に生きていこう」と自分の存在を自分で認めるにはどうすればいいのでしょうか。(文:ビジネスコーチ 駄田井 一孝)
「理想の自分」も「嫌いな自分」もまるごと受け入れる
あなたは自分という存在とどんな付き合い方をしていますか? 「なかなかイケてるんじゃない」「悪くないかな」と思っていますか? それとも「邪魔なやつ」「やっかない存在」「嫌い」と思っていますか? 自分という存在とどんな風に付き合っているのかを観察してみましょう。
例えば私は、自分に対してこんなことを思っています。理想の自分を描き、それに向かえている自分はOK。だけど、「何もしたくない」「面倒くさい」と感じたり、体調を崩してしまったりする自分は許せない。"理想の自分"は認められるけど、そうではない自分は認めることが出来ない。
自分の中には「チャレンジしたいと思う自分」「成功したいという自分」もいれば、「諦める自分」「逃げたい自分」「落ち込む自分」「情けなく感じる自分」もいます。どれもかけがえのない自分なのですが、良い時の自分だけ存在してほしいと願ってしまうものです。好ましくない自分は認めたくない。
でも、良い面だけを現し続けることは出来ません。「どうも自分の一部分だけを認めて、他は認めていないようだ」という癖に気が付いてから、"認めたくない自分"も丸ごと受け入れてみようと、いろんな自分の存在を許してみることに取り組み始めました。
今でも"認めたくない自分"が出てくることもありますが、そんな自分が出てきたら「まあまあ、そんな自分も私なのだから許してあげようよ」と声を掛けています。"自分"という存在とどんな風に付き合っているのかを知る事はとても大切です。観察する所から始めてみましょう。
「今は難しいけど、未来は大丈夫かもしれない」と肯定的に捉える
そして、過去に選択したことであれ、いま選択したことであれ、その選択が自分にとってよかったなと思うことがあれば、「その選択はよかったね」「この選択があったから今日を迎えることが出来ているね」と、自分を認める言葉掛けをしてみてください。
どれだけ周囲の方があなたのことを認めてくれても、自分自身を認めることが出来なければそうは思えません。たとえ全てを否定したい自分がいたとしても、そんな自分が今この瞬間を無事に過ごせていることを認めてみます。
「今日一日を無事に過ごせたんだな」「何事もなく過ごせてよかったな」
今の自分をそのまま受け入れられない場合は、「今は難しいけど、未来は受け入れることが出来るかもしれない」と未来を肯定的に捉えてみましょう。自分の良い所を中々見つけられない時は、周囲の素敵な人や物や場所を観察してみましょう。
いいなと思う人がいれば、その人に触れてみるのもいいでしょう。素敵だなと思う場所に行ってみるのもいいです。触れた人や場所に対して、「出会ってくれてありがとう」「素敵な関わりをありがとう」と自分の周囲に対して認める言葉掛けをしてみます。
もし、素直に認められなくても大丈夫。その時は、「素敵なものに出会っているのにどうして素直に認められないのか?」と自分の中を探ってみます。自分という存在は、一生寄り添ってくれるパートナーです。そのパートナーと仲の良い関係を創るためにも認める声掛けを試してみてください。
今は、「この自分で良し」と思えなくても、そう思える日が来るかもしれない「出来なくてもいい。やってみよう」と気軽に取り組んでみてくださいね。
【プロフィール】
駄田井一孝(だたいいっこう) ProLeader代表/ビジネスコーチ
ビジネスコーチング実践会
https://www.1pro-leader.com/
1977年大阪府堺市生まれ。秋田県立農業短期大学卒業後、モーグルスキー選手として活動。2001年の長野国体に大阪代表選手として出場。選手引退後、豊中市消防本部に入社。消防士在職中に、対話を通して人の行動と能力を引き出すコミュニケーションスキル、コーチングと出会いトレーニングを開始。2004年にビジネスコーチとして独立し、経営者・経営幹部・個人事業主を対象に個人面談を通して目標達成のサポートを行う。個人面談の延べ人数400人以上。「この選択でよし!この自分でよし!」と日々、自分の存在に力づけられながら、望んでいることを実現していくことをサポートしている。