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時代にそぐわないPTA活動 、働く母親たちの障壁に 合理化することはできないのか

2019年09月28日 08:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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幼稚園、保育園や学校の行事参加は、働く親としてはなかなか大変なものです。私個人の場合は、近所の公立保育園では年末年始以外は一切お休みも時間短縮もなく、親の出番は保育参観と運動会くらいだったわけですが、小学校にあがってみると親の負担が一気に上がりました。覚悟はしていたものの、母たちの人生選択肢が狭まる理由を垣間見ました。

低学年のうちは、連絡ノートを見て忘れ物がないかチェックし、宿題の丸付け、音読の確認。工作で使う木の実やらボタンの収集だけでなく、計算カードやら九九カード1枚1枚にまで全て名前を書かなければなりませんでした!(簡易お名前スタンプでも作っておけばよかったと思いつつ、それをつくる余裕もなくフルネームを81枚頑張って書きました)。

ほかにも、体操服と上履きを金曜に洗って用意するとか、水泳用に水着と帽子に名前を縫いつけるとか、発表会で子どもを見てあげるとか、細かく言うと色々なタスクや行事調整が発生しています。郊外だと学童で給食が出るという仕組みも少なく、夏休みや冬休みになると毎日仕事前にお弁当を作ります。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)

下校時のパトロールのために仕事を午後休にする母親たち

そして、男女平等・共働きが当たり前と思って社会人になっていた私が実際に子育てをして衝撃だったのは、これらの負担に加えて、学校行事や父母会・PTAは、いまだフルタイムだろうと女性が参加するのが当然という暗黙のプレッシャーです。

これでは女性が正社員として仕事復帰したくても、パートか自営で時間の融通が利きやすい選択をするしかありません。父親の参加も以前よりは見かけるようになってはきましたが、まだまだひと握りというところでしょうか。

登下校のパトロールも、ただでさえ稼働時間が限られるなか、14時に仕事を上がらなければならず、そのために午後休をとる人も多いです。

この昭和的な仕組みが今でも続いていることに、とても違和感がありましたが、「子どもたちのため」「地域社会のため」という大義名分があると、なかなか異を唱えられない空気があります。

もちろん、子どもたちのために防犯の意味をかねて、というのは理解できますし、可愛い子どものためにとみんな頑張っているわけですが、共働き社会にはもっと良い仕組みが地域でできたらと思うことばかり。ちなみに私がパトロールを担当した場所を通行した小学生が2人のみ……でした。

どうしても必要だという場合も、例えば、「働き方改革を進める教員」でもなく、「必死で休み調整をしなければならない保護者」でもない、地域のシニアや有志の方々にサポートいただくとか、各家庭から1000円でも集金して警備員やらお手伝いできる方を雇うとか、新しい仕組みを模索できないものなんでしょうか。

父親が積極的に関わることのできる仕組みも必要

PTAに関しては、任意参加であるにもかかわらず、日本は実質的に全員参加(参加しないのはありえない雰囲気)となっています。米国だと全員加入を推奨されていますが、基本的には自由。入っていなくても気が引けることもないそうです。

たいがい周囲のママたちから出るのは「○曜日に絶対いかないといけないから仕事休まないといけない」という声や、効率の悪い煩雑な伝統タスクへの愚痴。子どもたちのためならば……学べることも多いし……という前向きな思いもありつつ、現状のやり方に違和感を抱かざるを得ない、変えたほうがいいのでは……とも考えてしまう、微妙にモヤモヤした感じが日本のPTAには漂っています。

聞けば聞くほど、PTAはもっと合理的にして、納得した保護者が加入する形に変えればいいのにと思ってしまいます。合理的でシンプルにすればもっと積極的に関わりたい人も増えるのではないでしょうか。活動時間を放課後から夕飯前までや、土日などに変えれば、父親も含めて参加しやすいでしょう。母親たちの仕事選びの幅も広げられそうです。

家庭における固定分業役割が時代にそぐわなくなりつつあります。父親が積極的に学校に関われる仕組みと文化も作っていく必要があるでしょう。過去の仕組みを引き継がなければならない、ではなく、時代にあわせてもっとみんなが納得して関わりやすい仕組みを保護者側も考えて改善していけたら、より素敵な保護者×学校×子どもたちとの関係が増えるのかなと感じます。皆さんの地域ではいかがでしょうか?

【筆者プロフィール】

谷平 優美

時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。