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板垣瑞生×吉柳咲良『初恋ロスタイム』対談 10代の2人が語る「恋」とは

2019年09月24日 10:31  リアルサウンド

リアルサウンド

板垣瑞生と吉柳咲良(撮影:大和田茉椰)

 映画初主演を務める板垣瑞生、初映像作品となる吉柳咲良、若手2人を支える竹内涼真が出演する映画『初恋ロスタイム』が現在公開中だ。


 仁科裕貴による同名小説を実写化する本作は、主人公の浪人生・相葉孝司が、“世界のあらゆるものが突然静止する”という不思議な現象に遭遇し、その時で出会った少女・篠宮時音とともに、毎日1時間だけ起きる「ロスタイム」の秘密に迫るラブストーリー。


 今回、リアルサウンド映画部では、孝司演じる板垣と時音演じる吉柳にインタビューし、本作での“初挑戦”について語ってもらった。


【写真】サイン入りチェキ


■「カメラが止まった瞬間に悔し泣き」


――板垣さんは主演、吉柳さんは映像作品への参加と、初挑戦尽くしになりますね。


板垣瑞生(以下、板垣):主演だからと気負ってしまったり、プレッシャーを感じることもありましたが、その上で主演として楽しい現場にしたいなと考えていました。いろんな恋愛映画があると思うんですけど、この作品は、見てくれる人が笑顔になったり、「恋愛することっていいな」と思って帰ってもらう映画だと思っていて。楽しい現場でできたものが、作品の中でも登場人物同士の空気感などにうまく反映されていたらいいなと思っています。


吉柳咲良(以下、吉柳):私はずっと舞台をやっていて、映像作品がどうやって撮られているのかよく分かっていなかったので、「こんなに何回も同じシーンを別の角度から撮るんだな」など、初歩的なことから毎回驚いてしまったことと、自分の声量がすごく大きかったり、ちょっと大げさだったりもしたので、いつも通り会話してるようなトーンで、もっと自然でいいんだと、表現が違うことも面白いなと思ったし、全てが初めてで新鮮でした。


――難しかったことはありましたか?


吉柳:涙を流すシーンでとても苦戦して、どれだけ時間とるんだよって思われても仕方ないくらい時間がかかってしまって……。


板垣:そんなことなかったよ。


吉柳:本当に泣けなくて。カメラの前になると緊張してしまうのか、うるっときても涙が流れなくて、カメラが止まった瞬間に悔し泣きをするということがありました。そういうときに板垣さんが「大丈夫だよ」って元気づけてくださったので、無事泣いて終わることができました。


板垣:やめろって(笑)。


――板垣さんはどうですか。


板垣:全体的に苦戦してましたよ。


吉柳:(笑)。


板垣:いや、本当に(笑)。


吉柳:全部ですか?


板垣:全部苦戦しました。僕、あまり明るい作品やったことがなくて。現場ではずっと3、4段階くらい自分が持っているテンションより高くお芝居をしていた気がします。それはすごく必要だなと思ってやっていたことだったので、めちゃくちゃエネルギーを使って頑張りました。


――演じていて、お互いに惹かれたところは?


板垣:吉柳さんは本当に素敵で、ピュアなんです。時音に同化しているのか、日に日に可愛くなっていくというか、どんどん女性らしく綺麗になっていくのを撮影中に感じました。


吉柳:初めての映像作品だったのですごく緊張していたし、カメラが回っている間も緊張して自分の思うとおりにできなかったこともあったんですけど、そんな中でも板垣さんが空気感を作ってくださって。


板垣:(笑)。恋愛する空気感みたいなのを?(笑)。


吉柳:初日の撮影でご一緒した時は、今よりも緊張して全然お話しできなかったと思うんです。でもそれをお芝居の中で出してしまうと、孝司と時音の関係が一気に崩れてしまうんじゃないかという不安があって。けれど、カメラが回っている間は、板垣さんが孝司として私の前に居てくれださったので、すごくやりやすかったなって。


板垣:いや、そんなことないですけどね~(笑)。


■「絶対マイナスじゃない」


――この作品を通して「恋」ってどんなものだと考えますか。


板垣:(吉柳をみて)どんなものですか?


吉柳:私が一番分からないことです(笑)。


板垣:自分が好きになった人のために一生懸命になれるとか、その人のために尽くせるということは、それはもう恋なんじゃないかなと思っていて。その人のために一生懸命やるのが全てじゃないっていう考え方もあるけど、やっぱりその人のために何かしてあげたい、自分が犠牲になっても何かしてあげたいっていう心も立派な恋だと僕は思うので、それはこの作品を経て教えてもらったことではありますね。


吉柳:私、一番そこに悩みました。「恋ってなんだろ」って。よく考えてみると、こういうシチュエーションがあって、こうなったから恋ですとか決まりがないから。そうですね……あ! いい言葉が思いつきました! 恋は魔法だと思います。恋する子ってすごく可愛くなるじゃないですか。


板垣:(喋っている間中ずっと吉柳を見て)なかなかいい答えだと思うよ?(笑)。


吉柳:恋している人ってすごく素敵に見えますよね。可愛いなって思うと、だいたい恋をしていて、自分磨きをちゃんとしていたり。「恋すると顔も変わるんだよ」って聞いたことがあったのですが、本当にそうなんだなって思ったし、魔法みたいだなと。一番かわいくなれるのは、恋することなんだなって思いました。


――ご自身ではそういう経験ありましたか。


吉柳:私は、まだないです(笑)。


板垣:ショックですね。


吉柳:(笑)。


板垣:僕は、あの時だけは恋してくれてると思ったんです。


――作品の中では?


吉柳:あ、それはもう(笑)。


板垣:お芝居だもんね。


――じゃあもう体験はしたってことですね。


吉柳:はい。2人の恋愛が、とても爽やかすぎて。自分が描いていた恋愛とは違いました。


――最後にこの作品の見どころを教えてください。


板垣:10代の方たちはもちろんですが、僕らと同世代とか、ちょっと20代後半世代の方々にもぜひ見て欲しいです。「みなさんもこんな恋してたんですよ」っていう記憶を呼び起こさせる映画でもあります。自分もあの人とこんな初恋したかな? って思い出すことって、良い思い出だし絶対マイナスじゃないと思うんです。それっていくつの人にも言えるし、ぜひそのことを思い出すきっかけになったら嬉しいです。あと僕はこの作品、親子の方々にも見て頂きたいなと思っていて、例えば家族で見て、お子さんが恋愛を勉強するような教科書の一つになれたらいいなって思います。


吉柳:「恋愛」という型にハマっていないというか、こってりした恋愛映画じゃないんです。恋だけじゃなくて、一歩踏み出せない勇気とか、素直な気持ちを表に出せない葛藤だったり、すごく色んなことがこの一つの映画に詰まっているので、見ていただく方によって感じることが違かったり、いろんな見方が出来る作品じゃないのかなって思います。


(大和田茉椰)