ショー開始前、会場となった「GUCCI HUB」内は、あたり一面が赤いライトで照らされた。蛍光灯のように青白くまばゆい照明に切り替わり、ショーがスタート。3本の"歩く歩道"がランウェイとなり、まずオールホワイトのモデルたちがコンベアの上を歩かずに移動した。その後暗転し、今度は逆方向からモデルたちが登場。"高速ウォーキング”で新作コレクションを披露した。
事前に配布されたウェルカムノートには「NEW FORMS OF SABJECTIFICATION(=主体化の新たな形)」というテーマが記された。本文では、かつて王制におけるトップダウン式の権力支配が、現代では「力のミクロ物理学」によって形成された個々の意識の中に芽生える行動規範に形を変え、自由な討論の流布や規律に縛られた社会を構成していると説いたフランスの哲学者ミシェル・フーコーの「生政治学」の概念を引用。監視下における抑制や封じ込め、押し付けなどに抵抗する手段として「ファッションは新たな主体化へのタスクを果たすことができるのだろうか?」と問いかけている。