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『かぐや様は告らせたい』は平野紫耀の天然キャラがハマった? “三枚目”要素にも磨きをかける

2019年09月18日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』(c)2019 映画「かぐや様は告らせたい」製作委員会 (c)赤坂アカ/集英社

 King & Prince・平野紫耀主演の映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』が、想像以上の好成績を収めている。9月6日に公開となった同作は、その週末の土日2日間で約25万5000人を動員し、興行収入約3億1500万円となった。公開3日間の累計で動員数約36万人、興行収入約4億6000万円と「大ヒット」と言って間違いない成績をあげている。


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 同作は『週刊ヤングジャンプ』に連載中の人気コミックが原作で、すでにアニメ化もされている人気作だ。ヒットの裏側には様々な要因があるが、そのひとつにコメディ色の強い作風と俳優陣の演技が挙げられる。ヒロインである四宮かぐやを演じたのは、映画『銀魂』シリーズでも“1000年に1人の逸材”らしからぬ演技を見せた橋本環奈。そのコミカルな演技は健在で、さらに同作の中で度々見られる大画面アップでも映えるルックスの良さは流石としか言いようがない。さらに青春ヘイト全開の石上優を演じる佐野勇斗、絶妙な脳内お花畑感を表現している藤原千花役の浅川梨奈、職業不定の白銀(平野紫耀)の父役の髙嶋政宏、もはやコメディ作品に欠かせない存在となった佐藤二朗など、個性的な面々が脇を固めている一方で、主演を務めた平野のコミカルな演技にも、注目が集まっている。


 平野が演じる白銀御行は、学年1位、全国模試トップの学力を持つ秀才の生徒会長。生まれながらにして何でもできてしまうかぐやとは対照的に、人知れず努力を続ける努力型の天才だ。一見完璧な人間に見えるが、絶望的に運動が苦手だったり、音痴だったり、とんちんかんな恋愛観を持っていたり……と、人間らしい一面も持っている愛すべき人物。この「人間らしい一面」の部分に、平野はうまくハマったように感じる。


 この部分に注目し、ファンの目線で同作を見ると平野の超弩級の天然キャラが垣間見えているような気持ちになってくる。例えば、翼(ゆうたろう)から恋愛相談を持ちかけられたシーン。壁ドンを壁ダァンと微妙に間違って名付けてしまうあたりも平野らしい。また、大金を拾って交番に届けるシーン。「おまわりさぁーん!」と叫んでいる声のトーンは、白銀御行ではなく平野紫耀だと感じた。


 そして、同作がこれだけコミカルになっているのは、この“平野っぽさ”が度々にじみ出ているからではないだろうか。今まで平野が演じてきたのは、『honey』や『ういらぶ。』、『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)といった少女漫画の王子様役。ちょっとしたドジくらいのコミカル要素はあったものの、(当たり前だが)演技をする上で平野のど天然っぷりは一切封印していた。故に、「King & Prince・平野紫耀が演じる役=女子が夢見る王子様役」というパブリックイメージが形成されていた。だが、同作はかっこいいシーンのすぐ後に“平野っぽさ”を感じられるコミカルなシーンが来るため、ギャップが際立ち思わず笑ってしまうのだ。


 同作で平野は一味違うアプローチ法を見せてくれたのではないだろうか。少女漫画原作以外の役でもハマる。それを知らしめた同作は、平野にとってターニングポイントになるかもしれない。二枚目だけでなく三枚目要素にも磨きをかけ、主演以外でもストーリーに華を添える役者・平野紫耀も見てみたくなる作品である。 (文=高橋梓)