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年収240万円のホームセンター店員が10年で年収5000万円へ 『転職と副業のかけ算』から学ぶ「転職でのし上がる」方法

2019年09月16日 08:00  キャリコネニュース

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「給料がなかなか上がらない」「給料以外の副収入が欲しい」「一生懸命働いているけれど今の会社では明るい未来が見えない……」そんな悩みを抱えるサラリーマンに読んで欲しいのが、『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(moto/扶桑社)だ。

今年8月の発売直後にAmazonビジネス書ランキング1位となった本書、著者はツイッターでおよそ7万人のフォロワーを持ち、年収1000万円の会社員でありながら年間4000万円の副業収入を得ているという人物だ。「終身雇用はもう無理」と大企業のトップが宣言し、45歳定年説が囁かれるいま、サラリーマンに最も求められている情報が、たっぷり詰まった一冊となっている。(文:篠原みつき)

「奨学金を背負うより、同期より2年早く社会に出て生涯賃金を高めよう」と短大に進学

著者のmotoさんは、長野県出身の32歳。彼は高学歴でも裕福な家庭に育ったわけでもない。父親が厳しくお小遣いをもらえず、大学に行く学費も出さないと言われていた。そのため、学力は十分にありながら地元の短大に進学。ホームセンターに新卒入社した。

とはいえ、著者は幼少期からすべてにおいて「戦略的に」ものごとを進めている。本書はビジネス書だが、前半は「学歴や出自は関係ない」と励まされる、一種のサクセスストーリーのような面白さもある。

小学生の頃から「自分でカネを稼ぐ」ことの楽しさに目覚め、中学では中古ゲームの転売に奔走。高校生になるとネットでブランド品やオンラインゲームのアイテムを売買し、アルバイトをせず月に20万円稼いだこともあるという。「お金は貰うものではなく、自分で稼ぐもの」という著者の原点がここにある。

地元の短大に進んだのも、奨学金という借金を背負うよりも、同期より2年早く社会に出ることで生涯賃金を高めようとしてのこと。女子率99%という珍しい環境をブログにしたことで発信する手応えも得た。就職活動では学歴が大きな壁となったが、「トップに直接当たる」という特異な手法で大手IT企業から内定を獲得している。

大手企業の内定を蹴って、「転職でのし上がる」ことを決意

ところが、入社したのは周囲の反対を押し切っての「地元のホームセンター」だ。入社の経緯を、こう説明している。

短大卒ながら大手に内定をもらい、自信もついて新生活を楽しみにしていた著者。しかし、内定通知書を見て、ふと我に返った。内定企業の平均年収は実はさほど高くなく、初任給は各社横並び。入社後の仕事は不透明で、役員のキャリアは「転職組」が大半だった。

「就活にありがちなことですが、いつのまにか『大手に内定すること』がゴールになってしまっていたのです。勝手に『大手=年収が高い』と決めつけていた僕は、本来の目標とする「お金を稼ぐための道筋」として、このキャリアが本当に正しいのかと、改めて考えました」

短大卒というハンデのなかで出世していくのは難しく、大企業では地方に配属されるかもしれない。「2年先の状況が見えない」のだ。それなら自分が旗を上げやすい環境で実績を作り、転職でのし上がった方が良いのではないかと考えた。

「たとえ初任給が安くても、将来への投資だと割り切る。そのかわり、自分が早期に評価される会社に入り、実績を出して転職でのし上がろう。そして10年後の30歳では、サラリーマンで年収1000万円を稼ごう。そう決めました」

その結果、レジ打ちやクレーム処理を行いつつ、「店長になりたい」と公言し同期の誰よりも前に出て経験を積んだ。採用担当として成果をあげると、スッパリ転職。4度の転職でリクルートや楽天さえ通過点にして、現在は本業年収1000万円で営業部長として働いている。

4度の転職で「10年で1000万円」の目標を達成

本書によれば、転職のたびに年収を上げ生涯年収を最大化するポイントは、「実績をあげて自分の市場価値を高める」こと。著者は身を持ってそれを証明している。改めて年収の推移をまとめると、

・1社目、ホームセンター(240万円)
・2社目、大手人材会社(330万円)
・3社目、リクルート(540万円)
・4社目、楽天(700万円)
・5社目、広告ベンチャー(1000万円)

となる。副業では転職で得た知見をブログなどで発信し、年間4000万円を稼ぎ出す。読者は手法や考え方をできる限り取り入れれば、年収アップの希望を感じることができるだろう。

他にも、転職エージェントの選び方や企業に刺さる「戦略的経歴書」の書き方、希望年収をかなえる交渉術など、今のサラリーマンが知っておくべき知識が充実している。就活に悩む学生や、まだ転職を考えていない人にも、一読の価値ありとお薦めできる一冊だ。