今年3月に「自分は男でも女でもない」と発言し、注目を集めた英出身シンガーのサム・スミス(27)。彼が現地時間13日、SNSにて「自分を指す代名詞を“THEY/THEM”に変えることを決めた」と発表した。
『Stay With Me』『I’m Not The Only One』など数々のヒット曲で知られる
英出身シンガー、サム・スミスは、心にしみる歌詞と“天使の声”と形容されるその美しい歌声で世界中の人々を魅了してきた。
サムは2014年5月に同性愛者であることをカミングアウトしたが、今年3月には「自分は男でも女でもない」とショッキングな発表を行い、男性・女性そのどちらでもない第3の選択肢“ノンバイナリー”(non-binary)という言葉をより世界に広めるきっかけを作った。
カリフォルニア州やニューヨーク州では、運転免許証や出生証明書といった公的な書類上に、この“ノンバイナリー”であることを表す“X”という記号が選択肢として存在する。またカナダやオーストラリアなどでは、パスポートの性別欄に“M”(男性)“F”(女性)に加え“X”の記載が認められている。
このように男性・女性のどちらの性別にも属さない人々を形容する際、英語では“He”や“She”の代わりに単数代名詞としての“They”が使われる。単数の“They”を使うことで、その人物の性別をあえて明確にする必要がなくなるというわけだ。
サム・スミスは、そんな性に中立な代名詞として浸透してきている“They”という呼び方を、今後自分自身を指す代名詞として使うことにした―とSNSで公表した。サムのInstagramには、
「今日はいい日だからぶっちゃけちゃおう。僕は自分を指す代名詞を、今後はTHEY/THEMに変えることに決めたよ。これまでずっと自分のジェンダーに悩んできたけど、内面も外見もありのままの自分を受け入れるって決めたんだ。」
「世間にどう思われるかを気にしすぎて公表することにかなりナーバスになってたけど、もうそんなこと気にしない!」
と綴られている。
そして自身を形容する際の“They”という単語の使用についても、「間違った性別で呼ばれてしまうこともあるだろうけれど、ぜひ“They”を使うようにトライしてみて」とファンに理解を求めた。サムはまた“ノンバイナリー”やトランスジェンダー・コミュニティーの活動家、もしくはリーダーとして活躍する人々のアカウント名を列挙し、彼らの活動内容などへの関心や理解を呼びかけた。
世界は少しずつジェンダーの多様化を容認する流れになってきているものの、性的マイノリティーの人々はいまだに世の中の偏見と闘っているのが実情だ。そんな世間の反応を予測してか、サムはInstagramのコメントを
「みんなを愛してる。腰が抜けそうなほど怖いけど今、僕はとっても自由になれた気がしているよ。」
「人に優しく接してほしい。」
と締めくくっている。
このたびのサムの投稿は、ジェンダー・アイデンティティーに悩む人々に大きな勇気を与えたことだろう。
画像は『Sam Smith 2019年9月4日付Instagram「Gorgeous night at @britishgq man of the year awards last night.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)