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重岡大毅が熱いセリフを連発 『これは経費で落ちません!』が描く仕事をする上で本当に大切なこと

2019年09月14日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『これは経費で落ちません!』写真提供=NHK

 多部未華子、重岡大毅、伊藤沙莉、平山浩行、江口のりこ、吹越満……と挙げていったらキリがないほど、出演者全員が見事にハマっているドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)。『トクサツガガガ』『女子的生活』など、秀作を輩出し続けているNHKドラマ10枠だが、本作もまた特別な一作になりつつある。


参考:伊藤沙莉、“集団”の中でこそ真価を発揮 『これは経費で落ちません!』で理想の後輩役に


 前週の第7話では、森若沙名子(多部未華子)と山田太陽(重岡大毅)が口づけを交わし、2人の距離も急速に縮まる。しかし、最後の最後で森若さんが目にしてしまったのが、太陽が大学時代の後輩・樹菜(筧美和子)と神妙な顔で抱き合っている姿。後ほど、樹菜がストーカー被害から逃れるため太陽に助けを求めたということが明らかになるが、森若さんは初めて自分の中に芽生える嫉妬という感情に動揺を隠せずにはいられない。


 第8話タイトルは「嘘つきとノベルティの巻」。新発田経理部長(吹越満)、吉村営業部長(角田晃広)の姿に象徴的なように、天天コーポレーションは賑やかで楽しい職場だ。しかし、一方で、第6話で転職してきた麻吹(江口のりこ)が指摘したように、古くからの慣習がまかり通り、費用対効果が適切でない部分があったり、改善するべき点も随所にある。そんな会社を海外から戻ってきた社長の息子・円城格馬専務(橋本淳)は抜本的に改革しようとしていく。


 専務は数字を第一に考え、無駄を徹底的に省こうと考える超リアリスト。早速、営業の希梨香(松井愛莉)がキャンペーンのノベルティとして作成したトートバッグを、販売促進効果はないと廃止する方向に。希梨香は「ノベルティの効果は数字では計れない」と主張するが、勇さん(平山浩行)が専務に報告したように経費だけ見れば赤字を出し続けているのが事実。希梨香や太陽が主張するように、赤字だとしても数字に表れないプラスな面があることも事実だが、“仕事”である以上、結果を数字として捉えるのは当然のことだ。それはプラスマイナスゼロにすることをモットーに仕事をしてきた森若さんの主義とも共通している点ではある。


 しかし、本作が第1話から描き続けてきたように、経費の裏側には必ずそれをどう使ったのかという理由がある。森若さん、真夕(伊藤沙莉)、希梨香、麻吹、太陽は、「切り詰める」という方向で、徹底的にノベルティにかかる無駄な経費を削っていく。人件費や配送費など慣例として見過ごしてきた余計な経費があったのだ。結果、赤字は解消。「数字で計れないものも評価してほしい」というのは簡単であり、どこか格好がつくところもある。だが、「計れないもののために何ができるか」「計れないものをどう数字に置き換えるか」「そのためになにをするべきなのか」、それこそが仕事をする上で本当に大切なことなのだ。


 今回も森若さんの見事な経理能力で問題は解決。一方、仕事のように、数字で表すプラスマイナスのイーブンにいつもできるわけではないのが恋愛だ。森若さんは太陽から受け取るばかりで自分は何も返せていないと悩む。毎話のことだがそれに対する太陽の答えがまた素敵だ。


「沙名子さんが喜べば俺も嬉しいんです」
「大事な人が喜んでくれて笑ってくれて、俺にはそれ以上の幸せは思いつかないです。そこだけは譲れないです」


 恋愛は決してギブアンドテイクの関係ではないからこそ、太陽のように一緒に喜び合えることが何よりも大事なことだろう。遂に(無理やりではあるが)森若さんから放たれた「太陽くん」の一言。また一歩先に進んだ2人だが、次週の予告では営業マイスターこと山崎(桐山漣)が森若さんに近付く姿が。心の声が突然漏れてしまったり、感情の起伏が大きくなったり、太陽によって変化し続ける森若さんが、新たな“刺客”にどう立ち向かうのか。早くも来週の金曜日が待ち遠しい。(石井達也)