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1日借りて乗り捨て料込みで1,080円? ニッポンレンタカーの「特割ワンウェイ」を利用してみた【コラム】

2019年09月13日 15:31  TRAICY

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大手レンタカー会社のニッポンレンタカーが、昨年から新しく始めたサービスが、SNS上などで話題になっている。その名称は「特割ワンウェイ」。片道利用が前提のサービスだ。

このサービス、発着地が限定される制約のもとで、通常のレンタカーに比べて極めて安価に利用できるもの。公式サイトで紹介されていたのが、ホンダ「フィット」の利用で、新潟から東京まで12時間借りて2,160円というシミュレーション。確かに破格だ。ただ、正規料金の3万円をかけて乗り捨て利用をするというのも考えづらいが…。

画像中にもあるが、「ちょうどいい車があった!」とならなければ利用できないので、実際に予定に合わせて利用してみた。

宇都宮から東京まで1日借りて、レンタカー代は1,080円!

アプリ内では、各営業所ごとに、その営業所から出発するもしくは返却する「特割ワンウェイ」の車の候補が表示される。

ある日、たまたま筆者の所用がある宇都宮から、東京に戻る「特割ワンウェイ」の車が表示された。車ごとに返却期限の時間が設定されており、その時間内に返却する必要があるが、筆者のスケジュールにはぴったりだった。

事前に運転免許証や支払情報が登録されたニッポンレンタカーのアプリで、ワンステップで予約できる。利用時間は制限された時間のなかで自由に設定でき、筆者は13時間利用で予約したところ1,080円だった。この料金には、免責補償制度の料金なども含まれている。

今回は、午前10時過ぎに宇都宮駅近くの宇都宮駅西口営業所でレンタカーを借りる。事前に返却する営業所、時間を設定し、アプリ上で支払いも済ませているので、営業所ではスタッフが営業所のパソコンを操作した後、筆者と一緒に借りる車のキズのみチェックするだけで、スムーズに借りられた。

車はホンダ「フィット」。一般的なコンパクトカーで、乗り心地も特筆すべきことなく、ごくごく普通だ。ただ、この車を13時間1,080円で借りていることは、たぶん普通ではなさそうだ。

宇都宮市内で所用を済ませた後は、東北道・鹿沼インターチェンジ(IC)から高速道路に。高速道路の料金は当然実費であり、1,080円のレンタカー代より高くなってしまうので、通行料が割高に感じることは否定できない。

平日夕方に利用していたため、多少渋滞があった(首都高速3号線大橋JCT付近)ものの、その他の区間は順調で、ストレスなく移動できた。

このあとは、もう一つの所用を済ませるため、横浜市北部へ。鉄道を乗り継いでいくと、時間がかかる移動なので、レンタカーが利用できるのが嬉しい。

横浜市北部の所用を済ませて東京に戻ってくると、午後10時を回っていた。指定していた秋葉原営業所は午前0時まで営業しているので、慌てる必要がないのは安心だ。営業所近くでガソリンを満タンにして返却。200キロほど走ったが、ガソリン代は1,300円程度だった。

費用対効果を検証してみる

今回宇都宮から横浜まで移動した際にかかった費用は、

・「特割ワンウェイ」料金1,080円

・ガソリン代 約1,300円(約200キロ走行)

・通行料 計4,680円(東北道鹿沼IC→首都高速道路用賀ランプ:4,070円など)

計約7,060円となった。一方、一部公共交通機関がない区間もあるが、新幹線などで移動した場合、

・宇都宮→センター南(横浜市北部の用務先の最寄駅)5,040円(東北新幹線普通車自由席利用・横浜経由)

・センター南→秋葉原(返却した営業所の最寄駅)850円(新橋・横浜経由)

となり、大人1名あたり5,890円となった。バスなどの公共交通機関で代替できなかった宇都宮市内の移動や、列車の乗り継ぐ手間や時間を省けたことを加味すると、利便性を含めれば遜色なく、互角だと感じる。また、休日に利用すれば、ETC割引もあり、通行料は安上がりになる。

今の話は、あくまで1人利用が前提。2人以上で利用した場合、さらにお得度は上がる。追加された人数分の交通費が浮くと考えてしまって良さそうだ。実際、横浜市北部の用務先からは3人で利用したため、レンタカーの費用の"元"は取れていると感じた。

この宇都宮から東京への移動、レジャーにも使えそうだ。宇都宮で待ち合わせして、日光・鬼怒川方面に足を伸ばしてみるのはどうだろうか。日光宇都宮道路の通行料は別途必要だが、半日あれば、紅葉や行楽シーズン以外の渋滞の激しくない時期なら十分楽しめそうだ。1日楽しんだとしても、レンタカー関連費用は、トータル1万円程度で収まりそうだ。

利用する区間によってもちろん変動するが、予定が合うのであれば、2人以上の利用でものすごくお得になりうるポテンシャルがある。1人でも、工夫次第では移動の最適解に躍り出うる。

渋滞などの時間が読めないリスクはあるが、乗り換えの手間がなく、時間短縮も実現できたので、筆者は今回はとても満足できるりようだったと感じた。

アプリの仕様に疑問はあるも、条件に合えば利用価値はある

「特割ワンウェイ」は、出発と返却の営業所、利用する車の車種や利用する時間、発着地の距離などで料金はあらかじめ決まっている。今回の宇都宮~東京間で1日1,080円というように、条件にあって破格で利用できるなら、利用価値はあるのではないか。

ただ、このサービスは、おそらく他の利用者が乗り捨てた車を、もとの営業所やそのエリアに戻す作業について、従来は従業員などを割いておこなっていたのを、一般利用者に「マッチング」していると推測でき、そのようなサービスの性質を踏まえると、事前に予約することは難しいようだ。交通手段を含めた予定が事前に決まっている場合や、レンタカーを使いたい日程が決まっている場合に利用するのには向いていない。

また、SNS上でも指摘されていたが、アプリの仕様や挙動には改善の余地がある。先述した通り、アプリ内では、各営業所ごとに、その営業所から出発するか、返却する「特割ワンウェイ」の車の候補が表示されるが、その営業所に発着しない車の候補は表示されない。

実際に筆者が検索していても、希望の営業所と隣の駅にある営業所では、表示される候補が異なることが多々あったが、条件に合う車を見つけるには、営業所ごとにしらみ潰しに検索し続けなければいけない。表形式などで一覧にするなど、「マッチング」の改善の余地はあるだろう。

しかし、これらの不便な点を除いても、条件に合えば十分に利用価値があると感じた。他社でも同様のサービスを行っており、このようなレンタカーの「マッチング」サービスは、一考の価値がありそうだ。