トップへ

人手不足の解消法1位は「賃金引き上げ」 2位に「職場内コミュニケーションの活性化」が入る

2019年09月13日 12:50  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

帝国データバンクは9月12日、「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」の結果を発表した。調査は今年8月に実施し、全国1万7社から回答を得た。

現在、正社員または非正社員のいずれかが不足していると回答した企業は54.6%。どのような部門・役割で不足しているかを聞くと、最も多かったのは「生産現場に携わる従業員」(57.2%)。企業別に見ると「製造」「運輸・倉庫」「建設」で高く、

「工事現場の現場代理人が足りていない」(コンクリート製品製造、新潟県)
「慢性的にドライバーが不足している」(一般貨物自動車運送、福岡県)

といった声が寄せられた。

大企業ほど「時間外労働の増加」「休暇取得数の減少」など労働環境に影響

不足部門役割は次いで、「営業部門の従業員」(47.7%)、「高度な技術を持つ従業員」(37%)、「経理・総務・人事部門の従業員」(20%)、「経営・企画開発部門の従業員」(13.4%)、「研究・開発部門の従業員」(11.8%)、「海外との橋渡し役の従業員」(4.8%)と続く。

人手不足によりどのような影響があるかを聞くと、1位は「需要増加への対応が困難」(50.5%)となった。特に五輪関連で需要が続く「建設」、荷動きが活発な「運輸・倉庫」などで高水準となった。

2位以降、「時間外労働の増加」(36.6%)、「新事業・新分野への展開が困難」(31.7%)と続く。また、営業活動に関する「需要増加への対応が困難」「納期の遅延」「現状の事業規模の維持が困難」といった影響は企業規模が小さいほど数値が高い傾向がみられた。

一方、「時間外労働の増加」「休暇取得数の減少」など従業員の労働環境への影響は規模が大きい企業保ほど強く出ていた。企業からは、

「人手不足により、工事の受注増大に影響がある」(建築工事、埼玉県)
「人手不足により社員一人にかかる負担が大きくなり、健康への影響がある」(一般土木建築工事、島根県)

といった声が寄せられた。

活用したい人材「シニア」「女性」が各3割

15~64歳にあたる生産年齢人口は、今後も減少することが予想される。今後、どのような人材を最も積極的に活用したいかを聞くと、最も多かったのが「シニア」(29.2%)。次いで「女性」(27.9%)、「外国人」(13.7%)、「障害者」(1.1%)となった。「わからない」も28.1%いた。企業からは

「シニアで働く意欲があり健康上の問題がない場合は、雇用を延長し、長く働けるような環境作りに努めている」(広告代理、大阪府)
「女性の活用を積極的に進め、労働力の不足をカバーしたい」(配線器具・配線付属品製造、静岡県)

といった声があがった。一方、外国人材については、「外国人研修生の受け入れも、受け入れるための準備に資金が必要なうえに、何をしていいのかわからない」(各種機械・同部分品製造修理、兵庫県)といった課題をあげる企業も多くみられた。

人手不足の解消に向けてどのようなことに取り組んでいるのかを聞いた。最も多かったのは「賃金水準の引き上げ」(38.1%)。以降、「職場内コミュニケーションの活性化」(36.7%)、「残業等の時間外労働の削減」(35.0%)、「業務プロセスの改善や工夫」(31.3%)と続く。

具体的には「職人の賃金を引き上げ、特に若者に魅力を感じられる業界にしたい」(一般管工事、東京都)といった声があがる一方で、「賃金の見直しを年末に向けて対応しているが、賃金高騰に対応しきれるか」(一般貨物自動車運送、茨城県)といった懸念も多く寄せられた。