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冷めたおでんを警察官に投げつけた男を逮捕…もしも、「熱々」だったら?

2019年09月13日 10:51  弁護士ドットコム

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おでんの入った容器を警察官に投げつけたとして、兵庫県佐用町の男性が9月11日、逮捕されました。神戸新聞の報道によると、男性は前日夜、コンビニでおでんを買い求めましたが、中に「つまようじ」が入っていたとして、県福祉事務所に連絡。訪れた職員とトラブルになり、男性は自ら110番通報をしたということです。


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酒に酔った状態だった男性は、駆けつけた警察官に向けておでんの入った容器を投げつけ、逮捕されました。おでんは巾着と豆腐で、冷めていたそうです。



男性は公務執行妨害の容疑で逮捕されましたが、もしもおでんが熱々で、警察官がやけどを負っていたら、どうなっていたのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。



●熱々のおでんを投げて、やけどを負わせたら、傷害罪の可能性も

今回は警察官が相手ですが、そもそも、一般人が一般人に熱々のおでんを投げつける行為は、どのような犯罪にあたる可能性があるのでしょうか。



「まず考えられるのは暴行罪ですね(刑法208条)。暴行罪における『暴行』とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味しますので、おでんが冷めていても熱くても該当する可能性があるでしょう。



熱々のおでんを投げつけて、やけどを負わせたということであれば、傷害罪(刑法204条)が考えられます」



今回は警察官が相手だったため、公務執行妨害の容疑でした。おでんが熱々で、警察官がやけどを負った場合は、公務執行妨害以外に、どのような罪に問われる可能性がありますか。



「やけどを負っているわけですから、傷害罪にも該当することになります。ただし、公務執行妨害罪と傷害罪は一個の行為で行われていることに注意が必要です。



このような場合、刑法の世界では刑法第54条前段の観念的競合の関係になり、重い方の犯罪で処罰されることになります。



傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金、公務執行妨害罪の法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金ですから、傷害罪で処罰されることになります。



いずれにしてもこういった行為がないようにしてもらいたいですね」




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/