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NEWSは波乱万丈の15年を楽曲とともに乗り越えてきた ライブ映像作品から感じたこと

2019年09月13日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『NEWS 15th Anniversary LIVE 2018 “Strawberry"』(通常盤)

 NEWSが、ライブBlu-ray/DVD『NEWS 15th Anniversary LIVE 2018 “Strawberry”』をリリースした。2003年9月15日に結成したNEWS。本作は、2018年に迎えた15周年を記念して、味の素スタジアムで開催したライブの模様を収録したものだ。


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 NEWSのライブを見ていると、生きて、同じ時を共有することが、いかに奇跡的であるかを、改めて考えさせられる。どんなふうに生きても、同じ一生。ならば力の限り、自分を表現していく。強い眼差し、流れる汗、にじむ涙、こぼれる笑顔……彼らのステージをキラキラと輝かせているのは、きっと彼らの命のきらめきそのものなのだろう。


 顔をくしゃくしゃにしながら歌う声は、まさに魂の叫び。細部にまでこだわりが感じられる演出&衣装。飾らないやり取りが繰り広げられるMC。15年分の愛と感謝を、丁寧に紡いだ言葉たち。なぜNEWSのライブが、こんなにもエモーショナルで、エネルギッシュで、人間味溢れているのか。その答えが、特典映像の「ぼくたちの、原点」で明かされている。


 各自が、ターニングポイントとなった場所に足を運び、率直な想いを語るインタビュー映像は計117分。1人あたり約30分と、たっぷり時間をかけて振り返るのだが、そこはやっぱりNEWS。不甲斐なかった自分を叱咤したり、苦い思い出に照れくさそうに向き合ったり、前向きに次のライブを思い描いたり、新しい大きな目標を掲げたりと、4人4色の個性が感じられて面白い。それぞれの想いを、ぜひ今の彼らの声で受け止めてほしい。


 彼らのインタビューでも語られるように、NEWSの歩みは進んでは、ぶつかっての繰り返しだった。華々しくデビューしたかと思いきや、ジャニーズJr.として共に活動する時間が少なかったため、なかなか打ち解けられない時期もあった。実力も人気もバラバラの9人。人数の多さも、一人ひとりの魅力も、どう活かしていいのか模索していくうちに、メンバーの脱退が相次いだ。それでも懸命に4人で歩み出したと思ったら、まさかの活動自粛にファンも肩を落とした時期もあった。


 何度もつまづき、そのたびに立ち上がる。それは4人だけではなく、誰の人生にだって起こること。生きていれば思い通りにいかないことのほうが多いし、チャンスは平等ではないし、気の緩みからうっかり積み上げてきたものを壊してしまうこともある。自分が情けなくて、立ちすくんでしまいそうなとき、私たちは音楽の力を味方に立ち上がり、再び歩み出すのだ。


 NEWSは、それを自らの楽曲でやってきた。グループの危機があるたびに、自らを奮い立たせる気持ちとリンクした楽曲をリリースしてきたのだ。悔しい時期を乗り越えた彼ら自身が歌うからこそ、その歌は特別なものになる。NEWSのライブでは、ファンの歌声がよく聞こえるのも、きっとファンも彼らと一緒に歌って乗り越えてきたからだろう。


 「15周年だけど、ゼロになって」とは、加藤シゲアキがライブの終盤に語った決意。波乱万丈だった15年の軌跡を経て、これほど仲睦まじく笑い合える4人で活動できている奇跡を噛み締めながら、NEWSはまた歩んでいく。メンバー、ファン、スタッフという仲間の絆を道しるべに。(佐藤結衣)