ZOZOとヤフーは9月12日、都内のホテルで合同記者会見を開いた。同日朝、ヤフーによるZOZOの子会社化と、ZOZOの前澤友作社長の退任が発表されていた。
前澤元社長は会見に、自身の字で「Let's Start Today」と書いた、ZOZOのプライベートブランドTシャツで登場した。ツイッターで同日朝に「僕自身は新たな道へ進みます」と述べていた件について、今後は2023年に予定している月への渡航準備を行うことや、新しい事業への意欲があることを明かした。
辞任は本人の意向によるもの「最後の最後に、経営者って孤独なんだなと感じた」
冒頭、ヤフーの川辺健太郎代表取締役社長が、資本業務提携の目的を説明。「両社のユーザーや収益性の向上が行われる」と自信を見せた。
前澤元社長によると、今回の辞任は自身の意向によるものだという。月への渡航以外にも、「実はもう1回宇宙に行くことになっている」とも明かす。今後、宇宙へ行く準備やトレーニングに時間を割くことが多くなるので、退任を決めた。一方で、複数の事業を同時並行で行うことも考えているという。
「社会に役立つビジネスをやりたい。43歳、人生を折り返しています。急いで新しい事業を起こしたいと思います。今回は同じような思いを持つ人がいれば、一緒にやるのもいいかなと」
今回のヤフーとの資本業務提携については、
「お互いの弱点を補い合い、良いところを伸ばし合えるような、結婚のような提携になるんじゃないかと思います。独身の僕が偉そうにすみません(笑)」
とコメントしている。
辞任の決断について「家族、両親、子どもたちにすら一切(相談)できずに悶々と悩んできた」といい、「最後の最後に経営者って孤独なんだなって痛感した」と明かした。
社員のことを聞かれ「家族と思って21年間やってきた」と涙する場面も
質疑応答では、記者から社員への思いを聞かれ、
「やめていく分際で何古臭いことを言っているんだと思われるかもしれませんが、社員は家族と思って21年間やってきました。社員が今日の話を見て、一喜一憂する表情を見ると、胸が締め付けられます。勘弁してください、以上です」
と涙を流す場面もあった。会見に自社のTシャツで臨んだのも、社員への思いが込められている。
「今日から始めようと、直訳するとそうなりますが、旧社名はスタートトゥデイということで、ずっとやってまいりました。毎日が始まりで、毎日を大切に仲間と共に楽しく働き、社会のお役に立とうと21年やってまいりました。ここにきて別々の道を歩むことになりましたが、ZOZO にとってこのスタートトゥデイという名前は非常に重要な名前ですし、僕にとっても重要な名前です。このシンプルな考え方をもとに、これからも一歩一歩、お互いに楽しい人生を生きていけたらいいなと言う思いでこのTシャツを着てきました」
と明かした。会見では、前澤元社長が「尊敬する社長」としてずっと名前を挙げてきた孫正義社長が登場するサプライズもあった。