フェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットは、F1第14戦イタリアGPでチームが優勝し、喜びに沸くティフォシとともに勝利を祝ったことで大きな満足感を得たようだ。
フェラーリがこの名高いホームレースで前回優勝したのは2010年のことで、フェルナンド・アロンソが僅差でマクラーレンのジェンソン・バトンを下している。さらに今回の勝利はフェラーリのチーム創設90周年に達成された。イタリアGPにおいてフェラーリは、他のどのチームよりも多い20勝を飾ってきている。
しかし、フェラーリの2019年シーズンは、先週末のベルギーGPまで優勝することができなかった。そんな状況のなかシャルル・ルクレールがついにベルギーGPでF1初勝利を果たしたのだった。その7日後に再度勝利が達成されたことは、ビノットにとって夢が実現した以上のことだった。
「フェラーリの人間として、どのような気分か教えよう。チーム代表であろうと、メカニックであろうと関係ない。とにかく素晴らしい気分だ」とレース後にビノットは『Sky Sport F1』に語った。
「スパの後で再び素晴らしい週末になった。シーズンスタートは厳しいものだったから、2戦連続での優勝は、特にここイタリア、モンツァの我々のファンに向けては非常に特別なものだ。とても喜んでいるよ!」
「ここでのレースでは勝ちたかったが、勝てずにいた期間が長すぎた。(2010年も)勝てたが非常に難しいものだった。今日もまたタイトで厳しい戦いだった」
「結果にとても喜んでいる。本当に嬉しいものだ。だが非常に疲れたよ!」と興奮と強烈な時間を経て見た目にも疲労しているビノットは語った。
ビノットは特にルクレールについてこれ以上ないほどに称賛した。ルクレールはサマーブレイク以降のチームをよみがえらたようだ。
「サマーブレイク後の彼のドライビングは素晴らしいものだ。今日彼がほとんどミスを犯さずにポジションをいかに防御したかということからも分かる。彼はプレッシャーを気分を高めるものとして捉えているし、彼の走行は本当に素晴らしい」
土曜日の波乱の予選セッションで獲得したポールポジションからスタートした21歳のルクレールは、レースの間中メルセデスのふたりのドライバーからのプレッシャーにさらされたが、フィニッシュまで耐え抜いた。
「彼の走行は素晴らしかった。今日彼がいかにしてポジションを防御したかということからも分かる。ポールポジションからスタートして、レース中も首位に留まっていたことが、重要な要因かもしれない」
■レース結果の決め手となったシャルル・ルクレールのハードタイヤ交換
ビノットはまた、ルクレールが19周目でピットインした際に、ハードタイヤに交換したチームの選択が、レース結果において決め手となったと考えている。
ルクレールはハードタイヤによってメルセデスのルイス・ハミルトンの序盤の攻撃を抑えることができ、終盤の周回でもバルテリ・ボッタスと戦うのにタイヤは十分な耐久性を備えていたことが証明された。
「我々はハードタイヤに交換したが、それが正しい選択だと考えていた。タイヤの摩耗が重大になることは分かっていたからだ」
「第1スティントではリヤのソフトタイヤはほぼ終わりかけていた。だから防御のための最善の道はハードだったのだ」
「少なくとも試すことはできるし、ストレートでのポジションを守ることができると分かっていたが、最後に適切なペースを出すことが必要だった」
「ハードタイヤを選ぶことは勇気のいる選択だったが、正しい選択となったのだ」
ルクレールにとってレースは夢のような展開となったが、残念ながらチームメイトのセバスチャン・ベッテルにとって状況はさらに悪夢のようになった。
4度の世界チャンピオンであるベッテルは、6周目にアスカリでスピンを喫し、コースに復帰する際に他のマシンに接触してフロントウイングを損傷させてしまった。ベッテルは危険なコース復帰をしたことでストップ&ゴーペナルティを科され、さらに順位を下げることになった。
「私はまだセブ(ベッテルの愛称)とは話をしていない」とビノットは語った。「彼はインタビューで忙しくしている。後で彼に会うつもりだ。本当に残念だった」
「セブは前のボッタスとの差を縮めていたのだから、今日は良いレースができただろう。残念だよ。だが、まだ彼とは話をしていないんだ」