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『監察医 朝顔』家族の食事を通して向き合う“生きること” 上野樹里は悲劇にどう立ち向かう?

2019年09月10日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)フジテレビ

 上野樹里が主演を務める月9ドラマ『監察医 朝顔』(フジテレビ系)が、9月9日放送の第9話で最終章に入った。


 朝顔(上野樹里)で待ち受けていたのは、幼なじみでもある三郎(きづき)の妻、結衣(松長ゆり子)が遺体として運ばれてくるという、信じられない光景だった。朝顔は冷静を装うが、手が震え執刀できず、茶子(山口智子)からオペ室から出て行くように命令される。


 朝顔は遺体一人ひとりに対して「教えてください。お願いします」と大切に向き合い、遺体解剖を進めてきた。それは友達のように、家族のように。しかし、いざ友達を目の前にし、現実は遥か上をいっていることを朝顔は知ることになる。


 平(時任三郎)も容疑者である三郎が知り合いの家族という点から、捜査から外されることに。三郎に対して何もすることができない朝顔と平。そんな時に入ってくるのが、自暴自棄になった三郎が警察に出頭したという知らせだ。


 第1話目より『朝顔』では、家族の食事が印象的に描かれている。序盤の始まりは必ずと言っていいほど、朝顔と平の朝食のシーンから始まり、朝顔と桑原(風間俊介)、平とつぐみ(加藤柚凪)の思い出のかき氷、桑原のプロポーズにもあった縁側で食べるスイカなど、場面に合った食べ物が効果的に使用されている。


 第9話で、執刀ができなかった日に、朝顔はつぐみに夕飯をサボることを告げ、コロッケにした。それは夕飯を作る気力もないという弱音にも似たサイン。平もそのサインに気づき、事件のことを知らない桑原も徐々に空気を察していく。そして、三郎の出頭を聞き、朝顔は夕飯を自ら作ることを平に言い、カレーを作り始める。「2人の時は、3日間カレー食ってたよな」「4人になるとあっという間だね」という平と朝顔の会話から、食卓にカレーが出るのは久しぶりなのだろう。


 自然と話題は、2011年3月11日に。ご飯も食べずに必死で里子(石田ひかり)を捜し続ける平と朝顔に、浩之(柄本明)が差し出したのがおにぎりだった。「食べなきゃ。食べなきゃ」という平の言葉は、生きることに向き合うという、人間が最も忘れてしまいそうになることに、改めて気づかされる。


 カレーの美味しさに改めて当時の思いを呼び起こした平は朝顔に「生きてさえいてくれればそれでいい」と話し、自信を失っていた朝顔は「自分ができるところまで、やれるところまでやってみる」と再び遺体と向き合う決心を固める。その話をじっと階段でつぐみを膝に抱きながら聞いていたのが桑原。つぐみから「泣いてるの?」と聞かれ、「パパはね、もう泣かないって決めたの」と答える桑原から、2人と同じく一歩ずつ進んでいることが伝わってくる。


 第10話では、朝顔と同じく、平も捜査への参加を直訴し、今回の案件に違和感を抱く丸屋(杉本哲太)とともに改めて実況見分に向かう。再解剖の末に、見えた答えとは。そして、最後の事件も始動する。桑原は、県警本部がマークしていた建設会社に関わりがあるらしい刺殺事件を追うことに。予告では「最後にして最大の悲劇」というテロップと共に、雨の中土砂の近くで後ろを振り向く桑原の姿が。朝顔たちにとって、また悲しい出来事が一つ増えてしまうのだろうか。(渡辺彰浩)