スーパーバイク世界選手権(SBK)の表彰台にアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が戻ってきた。第10戦ポルトガルのスーパーポール・レースで2位、レース2では優勝。第7戦イタリア(ミサノ)以来の勝利を挙げた。
2019年シーズン序盤を席巻したバウティスタだったが、ここ数レースは優勝も表彰台も逃していた。第8戦イギリスではジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)にチャンピオンシップのポイントランキングで逆転を許した。
さらに第9戦アメリカのスーパーポール・レースでの転倒により左肩を負傷。この影響もあり、アメリカの3レースではノーポイントに終わった。サマーブレイク前に負ったこの負傷は、後半戦最初のレースとなったポルトガルまでに完治はしていなかった。
こうした状況のなか、バウティスタはポルトガルの3レースで奮闘した。レース1ではオープニングラップの1コーナーでチームメイトのチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)と接触しかけて後退したものの、怒涛の追い上げを見せて4位フィニッシュ。
スーパーポール・レースではやはりオープニングラップでポジションを落としたが、2位表彰台を獲得すると、レース2では序盤からトップに立って少しずつ2番手のレイを引き離し、優勝を飾った。
「今朝は具合が悪かった。だから、スーパーポール・レースではスタートをうまく決めようと思っていたんだ。けれど大きくポジションを落としてしまい、体力をたくさん使うことになった。けれど、レース2ででフロントロウからスタートするために、2位でフィニッシュしたんだ」
レース2では一時、レイとの差を2秒近くに広げていたバウティスタは、最終ラップにはレイに大きく接近を許している。これは、左肩の負傷が影響を及ぼしていたようだ。レースを終えてパルクフェルメにマシンを止めたバウティスタは、その場にうずくまり、肩のアイシングのためにレーシングスーツを脱ぐことさえチームスタッフの手を借りていた。
「本当にタフなレースだったよ。特に、体の面でね。というのも、肩の調子がまだ完全ではなかったんだ」と、バウティスタ自身が語るように、決して楽なレースではなかったのだ。最後の2周には体力が厳しい状態になっていた。
「レース中盤にはペースがよくなったと感じたから、レースをリードして最後まで攻めることに決めた。後方との差をうまくコントロールできていたよ。けれど、残り2周で体力がほとんど残っていないように感じた。体力が切れてしまったのは最終ラップだからよかったけどね」
バウティスタにとって2カ月以上ぶり、そして、ポルトガルでの初優勝。チャンピオンシップとしてはレイに91ポイントもの差をつけられているが、勢いを取り戻したバウティスタがその行方を混迷に導くかもしれない。