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「時短社員はやりがい搾取されている」は的外れ 「扶養内で成長したい」女性の意外な多さ

2019年09月09日 07:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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よく聞くようになった「女性活躍」という言葉には、「今まで女性が活躍していなかったみたい」「女性ばかりずるい」という意見も出ます。様々な反応がありますが、私としては、「労働力としての『女性』を見直して、仕組みも見直しましょう。結果的に全ての人が働きやすくなるために」という考え方だと思っています。

弊社ルバートでは2013年から、役員男性1人を除く全員が子育てママという珍しい体制で運営をしてきました。運営を通して感じたのは、

・時間対成果の高い人材は性別・年齢も国籍も雇用形態に関係なくいる。但し、配慮すべき傾向はある
・大事なのは、性別やカテゴリ分けに対する固定概念やイメージをいかに捨てて、労働力としての力をいかせる仕組みをつくるか

ということでした。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)

正社員と時短社員なら「時短社員がいい」という声多数

時短社員の活用は搾取ではないかという意見が時々ありますが、現状の日本の仕組みでは社会保険に入りたくない人(扶養に入りたいママさん)が割合的に多いのが実感値です。採用面接時に正社員と時短社員を選んでもらう場合、「子育てと両立しやすい週3~4回で扶養内が良い」という方が多いんです。スタッフの中には「扶養を超えてしまうから」と昇給や正社員化を断る人もいます。

中長期では扶養制度はなくなるかもしれませんし、環境も変わっていけばまたこの仕組みも見直しが必要でしょう。ですが人材難時代突入のいま、現状の日本の仕組みに対して適応しようとしながら、やりがいと収入を模索する子育て女性は、経済にも企業にもおすすめしたい労働力です。

子育て人材といっても一括りにするのは危険です。しっかりキャリアを積み続けたい人もいればお小遣い割切り型でいい人もいる。時短を早く切り上げたい人もいれば子育てのためしばらく16時に帰りたい人もいる。夫が中心になって家事・育児をする家庭もあります。

そこで、4タイプの子育てママのうち、弊社が注目している人材を図にしてみました。予算が豊富にない中小企業にとっては、家事育児との両立で扶養内勤務希望でもやりがい・成長を求めてしっかり働きたいという人材はとてもありがたく貴重な存在です。弊社の場合、月に70~110時間勤務のアルバイト契約の方が中心ですが、正社員と変わらない主戦力として、「時間対成果」を皆さん目指して一生懸命頑張ってくださっています。

タスクの標準化など、業務の見直し作業によってチーム力も上がる

この人材を活かすために必要なのは、『適所適材』という考え方です。何となく社風に合っている人を採用し、均一の働き方を求めて育てる形から、職務に必要な能力や向いている適性に合わせて採用し、結果的に多様になる働き方で適材をいかす、という形への変更です。必要な業務スキルやタイプにあわせて採用し、適材が成果を出しやすい環境や仕組みをつくるという考え方が、時間制約のある人材だけでなく、全ての人が働きやすくなる仕組みへのポイントではないでしょうか。

採用・教育に伴って必要な作業も出てきます。弊社では、無駄な業務を極力排除したり、タスクを標準化したり、マニュアルを整備しながら情報を透明化して、属人化した仕事をゼロに近づけようと意識したり、コミュニケーションツールを見直したりしました。この結果、助け合えるチームとして、とてもうまく回りだしました。

業態・職種によってカスタマイズは必要ですし、取り入れやすいところ、取り入れにくいところはあるかもしれません。できるところから試すなど、会社に働きかけてみてはいかがでしょうか?

【筆者プロフィール】

谷平 優美

時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。