2019年F1第14戦イタリアGP予選Q3で、不必要に低速で走行したとして、ニコ・ヒュルケンベルグ、カルロス・サインツJr、ランス・ストロールは戒告を受けた。
直線の多いモンツァではトウ(スリップストリーム)をうまく使うことによって大きくタイムを削ることができるため、予選では他者のトウを利用するためにドライバーたちはポジション取りに集中した。Q3終盤、互いにライバルの動向を伺った結果、コースインするのが残り約2分の段階と、非常に遅くなった上に、アウトラップのペースも極めて遅く、結局、クラッシュで予選を終えたキミ・ライコネンを除く9人のうちサインツとシャルル・ルクレールしかチェッカーフラッグ前にスタート/フィニッシュラインを越えることができず、大部分のドライバーが最後のアタックができないまま予選終了となった。
スチュワードは、予選最終ラップのこの状況について審議を行い、その結果、集団の先頭を走っていたヒュルケンベルグ、サインツJr、ストロールがアウトラップ序盤に不必要に低速で走行、渋滞発生において重大な役割を演じたと判断、3人に戒告処分を科した。
ヒュルケンベルグは故意にファーストシケインをカットした疑いでも審議されたが、そう断定する証拠はないとして、ペナルティは科されなかった。
前代未聞の予選の展開に、多数のドライバーにペナルティが科されてグリッドが変動するのではないかという予想もなされていたが、降格処分はなされず、ルクレールのポールポジションが確定した。
スチュワードは同じ状況が再び起こることを防ぐための対策を取るよう、FIAに強く求めた。
「スチュワードはFIAに対してこの種の状況への解決を迅速に行うよう、強く勧告する」と声明には記されている。
ライコネンのクラッシュにより、1回目のアタックができなかったレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンは、2回目のアタックラップに入ることができず、ノータイムのまま予選を終えることになった。
本来真剣勝負でアタックを行う予選Q3がこのような状況になったことには、ファンだけでなく多数のモータースポーツ関係者からも大きな批判が集まっており、当事者たちも批判は当然のものと受け止めている。
メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは、「こんな状況を今まで見たことがあるか? 全員が馬鹿者に見える」と語ったとmotorsportmagazine.comは伝えた。
「F1どころかジュニアフォーミュラでも起こってはならないことだ」
結局予選タイムを出せないまま予選を終えたストロールは「コメディーショーのようだ」と述べている。