現地時間9月7日、2019年FIA-F2第10戦イタリアのレース1が開催され、日本の松下信治(カーリン)が優勝し、今シーズン2勝目をあげた。昨年のイタリア戦レース1では当時ロシアンタイム所属の牧野任祐が優勝しており、日本人ドライバーが2年連続でモンツァのフィーチャーレース(レース1)を制した。
予選は降雨によるハーフウェット路面に加えこの時期のモンツァとしては肌寒いコンディションとなった。そんな中ポールポジションを獲得したのはカラム・アイロット(ザウバー・ジュニアチーム)、2番手にチョウ・グアンユー(ユニヴィルトゥオーシ)、3番手にニキータ・マゼピン(ART)と続く。
日本の松下は5番手から、佐藤は14番手から上位を伺う。またこのレース1は前戦ベルギーラウンドのレース1中に事故死したアントワーヌ・ユベールへの追悼レースに位置付けられた。
気温24.7℃、路面温度38.8℃のドライコンディションと、昨日よりは暖かいものの例年のモンツァに比べれば幾分涼しい環境下に。規定周回数は30周で、一回のピットインとミディアム、ソフトタイヤの使用が義務となり、スタートタイヤの選択はチームによって異なる。
直前に行われたF1の予選が長引いたため15分遅れでスケジュールが進行。現地時間17時00分に決勝レース1のフォーメーションラップがスタートした。
そしてレースはスタート。アイロットがホールショットを奪い、その後方では松下がロケットスタートを決め一気に3番手に浮上する。
大きな混乱もなく1周目を消化したが2周目の1コーナーで数台がコースオフ。ルイ・デレトラズ(カーリン)はスピンしそのままリタイアに。このアクシデントでニキータ・マゼピン(ART)はノーズとタイヤ交換を強いられ戦線離脱となった。
団子状態での走行が続く4周目の1コーナーではダムスの2台、3番手セルジオ・セッテ・カマラとニコラス・ラティフィがバトルを展開。チャンピオンシップポイント争いも含めた戦いを演じる。
5周目、松下が首位アイロットに仕掛けサイドバイサイドに。そして4コーナーでパスしトップに浮上。寿命が短いと言われるソフトタイヤを目一杯使い、後続とのマージンを築いていく。その後方ではタチアナ・カルデロン(BWTアーデン)が第2シケインでスピン。そのままリタイアとなった。
松下は8周目にピットインしミディアムタイヤへ交換、暫定6番手でコースへ復帰。また序盤にバトルを演じていた上位勢はほぼ全車がピットインしタイヤを交換。この時点で首位はルカ・ギオット(ユニヴィルトゥオーシ)、ジョーダン・キング(MPモータースポーツ)、ミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)と続く。
ここ数戦、F2マシンのタイヤマネージメントのコツを体得してきた松下は、タイヤをセーブしているのか徐々にアイロットに迫られ、最大で2秒以上あった両者の差は1秒以内に。
そのさなか14周目に暫定8番手を争っていたラティフィとグアンユーが接触しコースオフ。マシンにダメージを負った2台はピットイン。グアンユーはリタイアしラティフィは最後尾でレースに復帰した。
18周目、時より加速に違和感のあった暫定5番手のシューマッハーがピットイン。エンジン系に問題を抱えていたようで長時間の作業を強いられ、結局ここでレースを終えた。
松下の前を走っていたライバル達がピットインを行い、22周目には暫定2番手のキングがピット作業を敢行。23周目には暫定首位のジャック・エイトケン (カンポス)がピットインし松下はトップに返り咲く。2番手アイロットと1.701秒のマージンを持ちながら終盤戦へ。
その直後24周目のホームストレートで、松下の右サイドのパーツが外れ飛ぶトラブルが発生。松下は不安を抱えながら周回することに。アイロットとの差は徐々に離れるも最後尾から怒涛の追い上げを見せてきた3番手のニック・デ・フリース(ART)のペースが良く、最後まで気が抜けない展開に。
27周目、デ・フリースが2番手アイロットをパス。トップ松下との差は7.181秒に。ペースに苦しむアイロットは翌周に4番手のルカ・ギオット(ユニヴィルトゥオーシ)にも抜かれてしまう。ペースに勝る3番手ギオットは29周目にデ・フリースを抜いて2番手に浮上する。
そしてファイナルラップを危なげなく走りきった松下が第6戦オーストリア・レース1以来の今シーズン2勝目をあげた。
松下は無線で「グラッツェ!」と雄叫びをあげ喜びを爆発させた。