2019年のWRC世界ラリー選手権に3台のワークスマシンを投じているTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次なる戦いは9月12~15日に開催される第11戦トルコ、シリーズでもっとも厳しい環境下で争われるイベントだ。
トルコを舞台にしたWRCイベント、ラリー・トルコは2010年を最後にカレンダーから姿を消していたが、2018年にトルコ南西部のマルマリスを中心とする形で復活。今年で復帰開催2年目となる。
このラリー・トルコはグラベル(未舗装路)で争われる1戦で、ステージは同国の山岳地帯を中心に設定される。この地域の路面は凹凸が激しく、大きな石が転がる箇所も多いため、マシンへのダメージやタイヤのバーストなど、トラブルが起こりやすい環境だ。
加えて、この時期のマルマリスは気温も高く、エンジンやドライバーにも厳しい環境となる。特にタイトコーナーが連続する低速セクションではラジエーターの吸気量が減るほか、駆動系、ブレーキ系のオーバーヒートにも注意しなければならない。
トヨタが走らせるヤリスWRCは参戦初年度の2017年からラリー・メキシコなど気温が高くなるラウンドで熱害に悩まされてきたが、昨年は冷却系のアップデートを行ったため、ラリー・トルコでも大きなトラブルが起きることなく走行。結果的にオット・タナクが優勝、ヤリ-マティ・ラトバラが総合2位とワン・ツーフィニッシュを飾っている。
2019年大会も、上位入賞には純粋なスピードより、パンクやマシンダメージなどトラブルを避ける堅実な走りが鍵となるサバイバル戦が予想される。
大会は12日(木)の10時(日本時間16時)にシェイクダウンが行われて走行がスタート。競技開幕となるSS1は同日20時8分(日本時間翌13日2時5分)にスタートする。
競技2日目の13日(金)はSS2~7までの6SS、競技3日目の14日(土)はSS8~13までの6SSが行われる。競技最終日の15日(日)はSSS14~17までの4SSが行われる予定で、ステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージはSS17に設定された。SS17は現地13時18分、日本時間で19時18分にスタートする。
4日間で行われる全17ステージ合計の走行距離は309.86km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は986.28kmとなっている。
前戦のラリー・ドイチェランドで表彰台を独占したTOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表、トミ・マキネンは「ラリー・ドイチェランドでの信じられないような結果により、我々のモチベーションは非常に高い状態にあるが、ラリー・トルコはまったく別のチャレンジとなるだろう」と気を引き締める。
「何よりもクレバーさが求められる1戦だし、昨年はクレバーに戦ったからこそ素晴らしい結果を得られたのだと思う。もちろん今年もその再現を試みるが、そう簡単には行かないだろう」
「厳しいコンディションに対応できるようなクルマに仕上げることが非常に重要だが、性能に関しても少し上げたかったから、このラリーに向けてとてもハードに準備を進めてきたよ」
目下2連勝中でドライバーズランキング首位につけるタナクは「昨年は本当に厳しいラリーだった。僕は優勝し、チームはワン・ツーフィニッシュを飾ったが、正直なところ我々にはそれほど速さがなく、スマートな戦いをしたことが好結果につながった」と述べている。
「きっと今年もステージは非常に荒れると思うから、いかなる問題も起こさないようなアプローチをとることになるだろう。しかし、今年はパフォーマンス面に関しても向上させたかったので、チームは懸命な努力を続けてきたんだ」
第9戦フィンランド、第10戦ドイツと2戦連続で表彰台を獲得しているラトバラは「我々はラリー・ドイチェランドの前にギリシャでテストを行ない、トルコと似たような荒れた路面でクルマの改善に注力した」とコメント。
2019年がラリー・トルコ初参戦となるクリス・ミークは「昨年出場しなかったから、僕にとって少々難しいチャレンジになるのは仕方ない。結果に関して特に目標を設定するつもりはないが、ラリーが終わった時にそのアプローチが正解だったと、きっと証明されるはずだ」としている。