2019年のWRC世界ラリー選手権を戦うMスポーツ・フォードは、昨年までヒュンダイからシリーズに参戦していたヘイデン・パッドンをシーズン終盤2戦で起用すると発表した。パッドンは第12戦ラリーGBで新型フォード・フィエスタR5を操りWRC2プロに、第14戦オーストラリアでフォード・フィエスタWRCを操り最上位クラスに参戦する。
2018年までヒュンダイ陣営の一員としてシリーズを戦ってきたパッドンは、2018年シーズン最終戦だったラリー・オーストラリアで総合2位表彰台を獲得するなど、パフォーマンスを発揮していた。
しかし、2019年シーズンに向けてはシートを確保できなかったため、WRCには参戦せず。8月に行われた第9戦フィンランドではMスポーツ・フォードから最上位クラスへスポット参戦する予定だったが、会期直前のテストでクラッシュしてしまい、本戦出場は果たせなかった。
ラリー・フィンランド以降も、パッドンは自身の支援者とともにWRC出場のために交渉を重ねてきたといい、今回Mスポーツ・フォードが再起用を決定。イギリス・ウェールズで行われるラリーGBではMスポーツの開発した新型フィエスタR5をドライブする。
そして、自身の母国イベントである最終戦オーストラリアではフィエスタWRCをドライブし、およそ1年ぶりの最上位クラス参戦を果たす。
Mスポーツ・フォードのチームプリンシパル、リチャード・ミルナーは「ラリー・フィンランド直前に起きた出来事によって、多くのラリーファンがヘイデン(パッドン)がWRCの舞台に帰ってくることを願っていると分かった」と述べる。
「だから、我々が彼ともう一度ともに仕事をするために必要な条件を提示したところ、彼はわずか3週間でそれをほぼ満たしてくれたんだ」
「彼の支援者や彼が提示してきた予算によって、我々は2019年シーズン中に2戦でスポット起用する提案ができるようになった。そのうちラリーGBは新型フォード・フィエスタR5、ラリー・オーストラリアはフォード・フィエスタWRCでの参戦だ」
「(ラリーGBでエントリーする)WRC2プロはメーカー同士の争いで競争が激化しているから、ここにヘイデンを投入できることは大きな強みだ。また彼はさまざまなラリーカーをドライブした経験があり、そんな彼に新型フィエスタR5を託すことで、マシンのポテンシャルを証明できると考えている」
「そしてホームイベントであるラリー・オーストラリアこそ、彼がもっとも参戦したいと願っている1戦だろう。その大会で彼をシリーズ最上位クラスに復帰させられることをうれしく思うよ。彼とジョン(ケナード/コドライバー)のペアは素晴らしいパフォーマンスを秘めているから、彼らの走りを見るのが楽しみだ」
シリーズ終盤2戦への出場が決まったパッドンは「もう一度ラリーマシンのステアリングを握る機会を得ることができて、本当に最高だ」とコメントしている。
「フィンランドで起きた一件のあと、僕たちはMスポーツとともに新たな策を練ることができないかと話しあいを進めてきた。ここまで僕をサポートしてきてくれた人たち、なかでもHNZには心から感謝しているよ」
「参戦経験の多いラリーGBでMスポーツの最新鋭R5をドライブして、その性能を引き出すのが楽しみだよ。それに今年はラリーの走行経験が不足しているから、WRカーとR5でテストを重ねられることも歓迎したい。なによりラリー・オーストラリアにWRカーで出場できるなんで信じられないよ」
「僕たちは、この2戦が“最後のチャンス”だとは考えていない。どちらのラリーも戦った経験があるからリラックスして楽しみながら戦うことができれば結果は自然とついてくると思っている」
「好成績を残せない理由はない。リザルトだけを追おうとしなければ、自然と好位置につけられるはずなんだ」