7月に開催されたF1第10戦イギリスGPと同様、伝統の一戦である第14戦イタリアGPが、グランプリ開幕直前に「2024年まで5年間の延長」が発表された。木曜日のFIA会見は、それに関する質問からスタートした。会見に出席したのは、ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)、そしてフェラーリのふたりを加えた合計5人。
まずはフェラーリ・ドライバーのふたりから。セバスチャン・ベッテルは「すごくうれしいね」と言った後、「僕が5年後までここにいるかどうかわからないけど……」と、ちょっと意味深な発言。もちろん、その後、次のようにしっかりとフォローした。
「フェラーリにとって、イタリアGPがいかに重要な一戦かは、説明するまでもない。個人的にもイタリアGPにはたくさんの思い出がある。2008年にここで初優勝したこととかね。その後、イタリア人にとっては、あまりいい思い出がここにはないけど、今週末はきっといい思い出になると信じている」
チームメートのシャルル・ルクレールも、もちろん「とてもハッピー」と5年間の延長を喜んでいたが、ベッテルとちょっと違うのは、その後に発した自分の進退についてのコメントだ。
「フェラーリ・ドライバーとしてここで走るのは特別。もちろん、5年後まで、ここで走るつもりさ」
イタリア人ドライバーのジョビナッツィも「フェラーリ・ドライバーだけでなく、イタリア人ドライバーとイタリアのレースファンにとっても重要な決定だ」と契約延長を歓迎。
そのジョビナッツィは、今年ただひとりのイタリア人F1ドライバーで、イタリア人が母国グランプリを走るのは2011年のヤルノ・トゥルーリ、ビタントニオ・リウッツィ以来、8年ぶりのこととなった。その理由を尋ねられたジョビナッツィは、次のように語った。
「カートには、若くていいドライバーがたくさんいるけど、そこからステップアップするには、多額の費用がかかるため、なかなかフォーミュラ4へ進むことができないように思う。すでにカートもかなり高価になっている。それが8年間、F1でイタリア人ドライバーが不在だった理由だと思う」
「僕には幸運にも(リカルド・)ゲラエル(現在F2に参戦しているインドネシア人ドライバーのショーン・ゲラエルの父親)が、GP2時代に僕をサポートしてくれた。彼には本当に感謝しているよ」
■難しい状況の中、ベルギーGPで入賞を果たしたピエール・ガスリー
夏休み中にトロロッソへの移籍を言い渡されたガスリーは、いろんな意味で第13戦ベルギーGPの週末が難しい状況の中で戦っていたことを明かした。
「クルマも違えば、エンジニアも、そしてメカニックもこれまでと違っていた。とにかく、この状況で最高のパフォーマンスを出すことだけに集中していた。でも、土曜日にあんなこと(F2での大事故)があってね」
ガスリーは事故で亡くなったアントワーヌ・ユベールと同じフランス出身で1996年生まれの同級生。一緒にカートを始め、F1ドライバーを目指してきた仲だった。
「でも、アントワーヌため、チームのために、ベストを尽くしたよ」と言うガスリーは、今回はトロロッソのホームレースで、再び入賞を目指す。
ベルギーGPでは、開幕前日にルノーが2020年にエステバン・オコンを起用することを発表した。ルノーはダニエル・リカルドと長期契約を結んでいるため、この発表はヒュルケンベルグのルノー離脱を意味していた。果たして、ヒュルケンベルグはどこへ行くのか?
「まだ具体的ではないけど、間違いなく話し合いを行なっているよ。 僕は正しい評価、間違いのない決断をしたいので、焦らず、じっくりと腰を落ち着けて交渉したいと思っている。だから、皆さんに発表できるのは、もうしばらく後になると思う。だから、いまは何も話をすることはできないけれど、僕にはいくつかの選択肢があることは確かだ」
前戦ベルギーGPでは、チームメイトのリカルドを上回る今シーズン5度目の入賞を果たし、ポイントでもダニエル・リカルド(ルノー)に1点差に迫った。「今シーズンの13戦までの走りを10点で評価すると何点?」という質問に対して、木曜会見に参加した5人の中で最も高い8点をつけたヒュルケンベルグ。後半戦に期待したい。