2017年に4つに絞られたLMP2コンストラクターのひとつで、同カテゴリーにおいてトップシェアを持つオレカ。WEC世界耐久選手権2018/2019年シーズンからはスイスのレベリオン・レーシング向けにLMP1カーも開発し、スポーツカーシリーズの最高峰カテゴリーにもコミットしている同社は、来季導入される“ハイパーカー規定”への参入を目指している。
そんなオレカのユーグ・ド・ショーナック社長は、フランスのコンストラクターが2019年末までに、ハイパーカー・プログラムでパートナーとなるOEMメーカーを見つけることをターゲットにしていると語った。
ド・ショーナック氏は今年6月にも同様の意向をSportscar365に明かしておりそれ以来、パートナーの候補となる自動車メーカーと話し合いをもっている。
9月初めの週末に行われたシルバーストン4時間レースで、「オレカがハイパーカーを走らせるまでに、いつまで待つことができるか」という質問に対して氏は「年末までには。準備期間がどんどん短くなっていくため、我々は適切な立場にいる必要がある」と答えた。
「とりあえずは準備が整った時期に応じてプログラムを開始できる時期を確認することになる。2020年9月にそれを実現させるのは容易でないことは明らかだ」
また、ド・ショーナック氏によると、オレカは現在2社のOEMメーカーと技術提携について話し合いを進めており、さらに3社目とも「協議を開始しようとしている」という。
彼は、これらの潜在的パートナーの規模はさまざまだが、いずれのブランドもスポーツカーレースでの経験を含む、モータースポーツの血統を持っていると示唆した。
「話し合いは容易ではなかったが、OEMとのパートナーシップを模索するという目標は変わらない」とド・ショーナック氏。
「今のところ、(ハイパーカー規定には)トヨタとアストンマーティン以外の大手自動車メーカーが参戦するという発表はなされていない。そのため、私たちだけでなくチャンピオンシップにおいても重要な問題だと考えているんだ」
「我々は引き続き取り組みを進めていくが、やはり時間がかかる。また、OEMメーカーにチャンスがあるかどうかを確認してもらう必要があるが、これについては私は自信がある」
OEM企業が契約を結ぶためにオレカに求めている保証は何かという質問に対して、氏は「彼らはオレカが非常に優れた技術パートナーであることを理解している。よって、私たちの方からなにかを証明する必要はない。必要なのは選手権の質に納得することだけだ」と語り、「しかし、このようなチャンピオンシップに参加することは、彼らにとって良い投資になると思うよ」と付け加えている。
■レベリオン・レーシングのデッドラインは9月末まで
現在、オレカの支援を受けてWEC“シーズン8”のLMP1プログラムを実行しているレベリオンもまた、ここ数週間ハイパーカー規定への関与を評価している。
スイスチームのカリム・ブハドラCEOによれば、レベリオン・レーシングはハイパーカー・プログラムの技術提携を年内にも結びたいと考えているという。
「デッドラインは9月末までとした。すでに2020年シーズンへの準備は遅れているため、これ以上遅らせる余地はない」とブハドラ氏。
「現実的には、レベリオンがハイパーカー・プログラムを開始するのは2021/22年シーズンからになるだろう」
「クルマを作るには1年半はかかる。我々は(2020/21年に間に合うよう)無謀とも言える速さで決断を下さなければならないという選択を取る必要はないんだ」
また、ブハドラ氏はチームが2019/20年シーズン第2戦富士から参戦台数を1台に減らすことについて、新しいプロジェクトに充てるリソースを割くために採られた決定であることを示唆した。
「それは単に財政的な要因によるものだ」と彼は述べた。
「今シーズンは、(ハイパーカー規定に向けて)新しい車を手に入れるために費用がかかるため、出費を抑えたいと考えているんだ」
そう語ったブハドラ氏は先月、チームが開発のためのシーズンとして2020/21年に現行のLMP1シャシーとハイパーカーのパワートレインを組み合わせて、テスト参戦する可能性を示唆している。