電動SUVを使用したエレクトリック・オフロード・レーシングシリーズとして2021年の創設が予定されている『Extreme E(エクストリームE)』が、その開幕戦の舞台を発表。モータースポーツ界初の試みを実現するとのコンセプトに従い、グリーンランドが史上初のイベントホストになることをアナウンスした。
2021年のシーズン1に向け全5戦のラウンド開催を計画する『エクストリームE』は、その開催地候補にARCTIC(北極圏)、GLACIER(氷河)、RAINFOREST(熱帯雨林)、DESART(砂漠)、OCEAN(海洋)など地球上に存在するあらゆる自然環境を設定している。
そのひとつとして、北極圏に位置し地球温暖化現象で前例のない影響を受け続けているグリーンランドが、モータースポーツ界初、シリーズ史上初の開催地として名乗りを上げた。
8月30日に発表されたアナウンスに際し、同国内陸部のラッセル氷河にも近いウエスト・グリーンランドのカンゲルルススアークには、『エクストリームE』創設者のアレハンドロ・アガグを始め、グリーンランドの産業エネルギー開発担当大臣であるジェス・スヴェンも姿を見せた。
「このエクストリームEというユニークな電動レーシング・フォーマットのイベントを、世界的な気候変動の緊急的な事態に直面するこのグリーンランドに持ち込み、レース開催が実現することにとても興奮している」と、フィヨルド地域の街で語ったABBフォーミュラE選手権ファウンダーでもあるアガグ。
「エクストリームEのコンセプトを発表した際、このシリーズがモータースポーツの"モールド(金型)"を壊していく、と約束したが、この開催地発表はその最初の証明になったと考えている」
「これは本物のモーターレーシング・シリーズであるだけでなく、とくにここグリーンランドでは無視できない問題である、二酸化炭素排出量の世界的削減に向け、電動モビリティの進化と普及を促進するというスポーツとしての強力な使命と目的があるんだ」
一方、ラウンチに同席したジェス・スヴェン大臣も「2021年にグリーンランドでエクストリームEが開催されることを非常にうれしく思う」と応じた。
「これは、グリーンランドが自然愛好家、冒険者、野生生物探検家によって求められる美しい旅行先であるだけでなく、輝かしい未来に向けたビジネス開発のモデルであり、グローバルに訴える機会にもなる」
「気候変動の問題を強力に訴えるという、エクストリームEのビジョンにも深く感銘を受けている。これは我々政府が掲げるグリーン・アジェンダとも完璧な一致を見せているからね」
「グリーンランドは自然の豊かな国であり、現在、すべての公共エネルギー供給の約70%を再生可能エネルギー資源からまかなっている。今後数年間で、これをさらに増やすことも確約している」
エクストリームEのシーズン1スケジュールでは、残る4つのイベントも気候変動や人為的干渉によってダメージを受けた環境がピックアップされることになる。現在、その正確な候補地は調査が進行中だが、ヒマラヤやインド洋の島などが挙げられている。
これら各地ではシリーズの宣誓する「環境保護、社会的包摂性および公正な政治慣行を保護するために、地元の第三者とともに各場所で『徹底的な環境、社会、およびガバナンスの評価』を実施」するべく、調査活動と評価が続けられている。
各イベントは3日間のスケジュールで開催され、10平方km以下のエリアを使用。ルートは自然環境に手を加えることなく、地形や障害物などはそのままステージとして組み込まれる。
また、シリーズへの参入を発表しているABTスポーツラインに続き、その長年のライバルでもあるHWA AGもエクストリームE初年度からの参戦をアナウンスしている。