トップへ

『まんぷく』放送後も出ずっぱり! 瀬戸康史、前原滉、毎熊克哉ら「塩軍団」俳優の活躍を追う

2019年09月05日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

瀬戸康史『ルパンの娘』(c)フジテレビ

 「塩軍団」俳優たちの活躍が嬉しい。「塩軍団」とは、2018年10月から2019年3月にかけて放送されていたNHKの連続テレビ小説『まんぷく』で、長谷川博己演じる発明家・萬平を手助けする若者たち。個性豊かなキャラクターを演じていた若手俳優たちは、視聴者から「お塩メン(推しメン)」や「塩ザイル(男性だけの大所帯から、ダンス&ボーカルグループ・EXILEとかけて)」と愛されていた。そんな彼らが『まんぷく』放送後も精力的に活動を続けている。


【写真】『あなたの番です』で注目の前原滉


■主人公を献身的に支える瀬戸康史


 瀬戸が『まんぷく』で演じていたのは、萬平の右腕として活躍する神部。萬平が盗みを働こうとした神部を許したことがきっかけで、神部はその恩を返そうと萬平の発明に献身する。瀬戸は人懐っこい笑顔を見せる神部を愛嬌たっぷりに演じていた。


 『まんぷく』で盗人として登場した瀬戸だが、現在放送中の『ルパンの娘』(フジテレビ)では泥棒と敵対する「警察」を演じているのが面白い。主人公・三雲華(深田恭子)は泥棒一家“Lの一族”の娘。そんな彼女と恋に落ちるのが、瀬戸演じる警察一家の息子・桜庭和馬だ。


 また『ルパンの娘』では、『まんぷく』で神部の妻・タカを演じた岸井ゆきのとの共演が話題に。岸野は和馬のお見合い相手として地味なビジュアルで登場。塩軍団を魅了したタカの雰囲気を一切感じさせない岸野との共演に、SNSでは「神部夫婦がお見合いしている」「2人の演技が上手くて神部夫婦に見えない」という声があがっていた。


■「情に厚い」といえば中尾明慶


 中尾は塩軍団いち喧嘩っ早い岡を演じていた。岡は登場した当初、塩軍団内で問題を巻き起こすトラブルメーカー的存在だったが、困っている人を助けたり、萬平や福子(安藤サクラ)に義理堅い素顔を見せ、話数を重ねるごとに人情味のある人物だということが判明。ドラマ終盤では頼り甲斐のある兄貴分へと成長していた。


 『監察医 朝顔』(フジテレビ系)では、主人公・万木朝顔(上野樹里)の同僚・高橋涼介を演じている。高橋は天真爛漫な性格で、無骨な岡とは正反対だ。そんな高橋は検査技師として法医学者を縁の下でサポートするだけでなく、悲しみを抱えながら目の前の遺体に向き合う朝顔を明るく支えている。


■妙なインパクトを残す前原滉


 ランニングシャツに丸メガネがトレードマークの小松原を演じていた前原。一目見ればすぐに分かるビジュアルもさることながら、塩づくりのために連れてこられた男たちの中で、いつも笑顔を絶やさない、唯一無二の「癒し系」として存在感を発揮していた。


 『まんぷく』ではほのぼのとした雰囲気で視聴者に癒しを与えていた前原だが、その演技力は「実力派」と呼ばれる俳優たちに引けを取らない。


 『いだてん』(NHK総合)では、日本人初のオリンピック選手となった主人公・金栗四三(中村勘九郎)の同級生・平田を演じ、徒歩部の部員として四三らと共に過酷な練習に励む。スリリングな展開が話題の『あなたの番です』(日本テレビ系)では、“交換殺人ゲーム”の舞台であるマンションに派遣されてきた新管理人・蓬田蓮太郎として登場。蓬田は妙に馴れ馴れしく、いまいち掴みどころがない怪しげなキャラクターは、謎が謎を呼ぶ本作の世界観にマッチしている。


■ムードメーカーといえばこの人! 永沼伊久也


 永沼が演じていたのは塩軍団のムードメーカー的存在・赤津。SNS上では、福子の母・鈴(松坂慶子)にこき使われる姿から「すずのしもべ」として注目を集めていた。しかし、そんな赤津が、鈴の生前葬で誰よりも早く鈴に駆け寄る姿に笑い、涙する視聴者も多かった。


 『いだてん』では、水泳日本代表チームの1人・横山を好演。横山は、800mリレーの代表選手として選抜され、日本の金メダルをもたらした選手の1人だ。


 しかし『まんぷく』での愛されキャラ・赤津があまりにもハマり役だったのか、『いだてん』での役名が横山にも関わらず、視聴者からは「赤津」と呼ばれている。あまりの反響に、自身も思わず役名を間違えてエゴサーチしてしまったようだ。


■漢気と渋さを醸し出す毎熊克哉


 毎熊が塩軍団で演じていたのは、硬派な佇まいの森本。喧嘩っ早い岡としょっちゅう衝突していた森本だが、彼は戦場で深い心の傷を負っていた。森本の癒えない心の傷を、毎熊は静かに演じていた。


 『Iターン』(テレビ東京系)では、広告マンとヤクザの二重生活を送ることになった主人公・狛江(ムロツヨシ)の教育係的存在、「岩切組」の組員・桜井を演じている。古田新太演じる組長・猛の後ろに立つだけで独特の存在感を発揮。桜井はローテンションで口数も少ないが、狛江を「オジキ!」と呼ぶ姿やその佇まいから、只ならぬほどの渋さや漢気を醸し出している。


 映画『全員死刑』では、次々に殺人を犯していく主人公の兄を演じていた毎熊。毎熊の演技に魅せられた視聴者の中には「ド悪い役にハマりすぎて素敵」という声も。


■登場人物のまっすぐな思いを伝える榎田貴斗


 榎田が演じていたのは塩軍団いち真面目な倉永。個性豊かな塩軍団のメンバーの中でも、比較的控えめな立ち位置ではあったが、常にメモをとりながら仕事に励む倉永を榎田が演じることで、不器用だが一生懸命な倉永の性格が際立って見えた。


 そんな榎田は、現在『だから私は推しました』(NHK総合)で地下アイドル「サニーサイドアップ」を推すオタクの1人・柿崎を演じている。柿崎は倉永同様メガネキャラだが、理屈っぽく、推しのためならオタク仲間と衝突することも辞さない。推しを応援するいきいきとした演技からは、まっすぐな思いが伝わってくる。


 「『まんぷく』の塩軍団」として、その後も注目を集め続けている若手俳優たち。現在演じているキャラクターでは異なる演技を見せながらも、「塩軍団」として愛されているのは、『まんぷく』で役を丁寧に演じ、彼らにしかできない役回りを確立したからではないだろうか。


(片山香帆)